成長過程


《籠目原ミカヅキ》

 悴んだ指先に、はあ、と息を吹きかける。それ
で寒さをしのげたのは一瞬だけだった。それでもなんとか熱を留めようと、両手を擦り合わせる。あんまり意味ない気がするなあ、と少し離れた所のイルミネーションをぼうっと見ていれば、人混みを縫ってあわあわとこちらに向かってくる黒髪を見つけた。
「ご、ごめ、退治が長引いて……!」
「おつかれさま」
 荒い呼吸のミカヅキくんに、待ってないから大丈夫だよ、と手を背中に隠して明るく言う。けれど彼は、難しい顔をして何か言いたげに口をまごつかせた。そんなミカヅキくんの赤い鼻の上に、白い綿がひらりと舞い落ちる。上空を見れば、雪がちらほらと降り始めていた。
「寒いね」
 寒さでぼんやりしていたせいか、面白くもなんともない感想をぽろっと零してしまう。しかし、言うまでもないことをわざわざ口にした私を馬鹿にすることなく、彼は「そうだね」と柔らかく笑ってくれた。
「……あの、手、繋がない?」
 意を決したように告げられ、瞠目した。彼の頬が、そして私の顔が赤いのは、きっと寒さのせいだけじゃないだろう。私は、手袋をわざわざ外して差し出してくれた彼の手を、恐る恐る握った。私とさして変わらない大きさなのに、触れる手のひらはマメやタコの努力の証で分厚い。そんな事実に、男の子なんだなぁ、なんて改めて実感してしまった。


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