「愛しています、僕と一緒になってくれますね?」

それは問いかけではなく、断定だった。
普通なら嬉しいはずの、プロポーズの言葉。それに選択肢を持てない自分が、ひどく悲しい。
私を見舞いに来たジョルノが“痛ましそうな顔”を装っているのも、怒りを通り越して虚しさが広がった。


「どうして……」

黄金の精神を持つ彼なら、と思っていた自分は愚かだ。だって勝手に助けてもらえると思っていた。
漫画の主人公なら当たり前にそうしてくれると思ってた。

ましてや、彼と私は親しくしていて……。
けれど、結婚を申し込まれるような間柄ではなかったのに。


「ずっと、ずっと、貴女が好きでした。僕はずっとチャンスを窺っていたんです」

すっかり力の抜けてしまった手をジョルノが握り込んだ。


「貴女は魅力的な人だ。歩けなくなったくらいで、それは変わりません」

「………っ」

彼に取られていない方の手で、ギュッとシーツを握る。
ただの、事故だ。世間にはありふれた、けれど容赦ない残酷さで、私の積み上げてきたもの全てを壊すような事故だった。

その現実に涙がまた溢れ出して止まらない。


「泣かないでください、なまえ。どんな貴女だって僕は愛しています」

何も…何も知らなければ嬉しかった。
心からジョルノの告白を喜べた。きっと、恋に落ちていた。


「たとえ足が一生治らなかったとしても……この愛は変わりません。僕が、僕だけが寄り添い続けます」

こんな風になった私を愛してくれることに。その愛情と献身に。
でも、違う。

「嘘つき……」

私は、ジョルノが私の足を一瞬で治せるのを知っている。
知らないけど、知っている。
私にはスタンドが見えないけれど、ジョルノがどんな能力を持っているかなんて、知り合う前から知っていた。

それこそ、ジョルノは主人公なんだから。


「嘘なんかじゃありません。僕と一緒にいてくれるなら、歩けなくても不自由なんてさせませんから」

優しく微笑む彼が、得体の知れないものに見える。その紛れもない現実の怖ろしさに、目を閉じた。


「何があっても離したりしませんよ、愛しい人。僕はこのチャンスを逃がさない」


愛は私を救ってはくれない。



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