シンプル
01
スイ先輩はアカデミー時代からの憧れだった。
審神者を育てるアカデミーでは常にトップに立ち、性格もよく容姿端麗。政府からも一目置かれる存在で、もちろん学園内で人気が出ないわけがなかった。
私もその内のひとりで、しかも、偶然スイ先輩と関わる機会があり、本当に運良く先輩に良くしてもらったのだ。
先輩は先にアカデミーを卒業して審神者として活躍している。その成果も素晴らしいと聞いている。私は今、そんなスイ先輩のお手伝いをするために、先輩のいる本丸に来ていた。
久方ぶりに先輩から来た手紙に、私に手伝ってほしいことがあると書かれていたのだ。私は歓喜して政府の方に事情を話し、特例で本丸に来させていただいた。
……で、本丸に来たものの、玄関がどこかわからない。日がくれる頃に着くと連絡していたのに、もう月がかなり上に来てしまっている。
ああ、せっかく久しぶりに先輩に会うのに、私のバカ。
「……君、もしかして主が言ってた後輩ちゃん?」
「え?」
ふと、後ろから声が聞こえた。振り向くと、暗闇でよく見えないが私より身長の高い男性が立っていた。
黒っぽい服を来ていて、眼帯? だろうか。付けているみたいだ。
「あ、はい。遅くなってすみません」
私は、相手が見えているかどうかわからないが、頭を下げた。
「いやいや、こちらこそごめんね。ウチ玄関がどこかわかりにくくてさ。用は居間であるから、庭から直接来てもらっていいかな? 僕が案内するから」
「は、はい……」
居間でご用? 一体なにをするのかしら……。
考えていると眼帯の人に腕を引っ張られた。優しく触られたから痛くはなかったけど、びっくりした。
そして、この人お酒臭い。臭いからして相当な量を飲んでいるだろう。さっきは気づかなかったけど、歩き方も少々おぼつかない。
……本当に、一体なにをするのかしら……。
居間へは本丸をぐるりと半周したところにあった。本丸のほとんどは電気が消えており、その居間だけがこうこうと光っている。どうやら宴会か何かを開いているらしく、声がこちらまで聞こえてくる。文字通りどんちゃん騒ぎだ。
嫌な予感がする。根拠はないけど、私は即刻ここから離れたかった。なんだか、このままここにいたら、大切な何かを失いそうな気がして。
だけど口を開く前に、眼帯の人に引っ張られてしまい、居間へと引きずられてしまった。
靴を脱がされ、眼帯の人が障子を開ける。(ちなみに、ここでようやく眼帯の人の顔を見ることができた。伊達政宗を想わせるような、中々の美男子だった)
「……う……」
臭い。想像以上に中はひどかった。酒臭いし、そこにいる全員が狂ったように酒やつまみを暴食している。恐らくここにいるほとんどの人達が刀剣男士だろう。みんな顔を真っ赤にしたり、ぎゃあぎゃあ叫んだり笑ったりしている。
私が見習い審神者として想像していた刀剣男士とは全く違う。彼らは神様だ。そう教えられていたから、もっと、個人差はあるのだろうけど気品を感じさせるものがあるのだろうと思っていた。
でも、今見ている彼らは、いや人よりも下劣な、そう感じさせるものがあった。
「……あ…」
騒ぎの中心、奥のソファーで見知った顔を見つけた。変わらない美しい容姿に長い髪。細いけど豊満な体。私が敬愛していた#スイ#先輩だ。
……でも、その表情と格好は私の知っている先輩とはだいぶ違っていた。酒を大量に飲んでいるのか顔が少々赤く、へらへらと始終笑っている。寝間着の裾からは生足がだらしなく出ていた。
先輩は私に気がついたのかこちらに向かってひょいと片手を挙げた。
「あっ、久しぶりー! ごめんね突然手紙なんて送って。元気してたあ?」
私はその物言いにも驚いた。先輩は、こんなフランクに会話をする人じゃない。もっと気品に道溢れた、凛としたものがある、そんな言葉遣いをするのに。
「すみません遅れてしまって……」
「ぜーんぜん大丈夫よ? 本番はまだ始まってないからさ」
けらけらと先輩が笑う。
本番? 本番、とは、どういうこと?
わけがわからず呆然としていると、先ほどまで食べたり飲んだりしていた刀剣男士達が先輩の周りに集まってきた。
「そんじゃ、お手伝いさんも来たことだし、そろそろ始めますか」
刀剣男士のひとりが、先輩にぐっと近づく。先輩が彼の方を振り向いたとたん、二人の唇が重なった。
「!!?」
「んっ……ふ、ちゅ……」
「あっ、薬研ずるい! あるじさんの最初欲しかったのに!」
「主様! ぼ、僕も……!」
先輩は、黒髪の少年の唇を奪ったかと思うと、すぐに舌をねじ込みまた別の刀剣男士にキスした。近くにいる人間を手当たり次第に貪っている。
「せ、先輩、なにを……?」
「何って、キスでしょキス。あ、ほら次は安定ね」
先輩は水色の服を着た少年の顎を持ち上げ、舌と舌を絡ませた。少年は今にもとろけそうな顔で先輩のディープキスを受けている。周りに集まっている他の刀剣男士たちも、先程のキスを受けたせいか目がとろんとしていた。
私が先輩の大胆なキスに目を奪われていると、最初にキスをした黒髪の少年が、先輩の下半身に手を突っ込んだ。そして少し手が動いて、先輩がぴくりと小さく跳ねた。
「ん……あ……薬研ったら、弄るの早すぎでしょー?」
「大将が言うのか? こんなに濡れてる癖に」
キスとはまた別な、ぐちゃぐちゃと水音が聞こえる。何をやっているかなんて、言われなくてもわかる。
「ウソ、でしょ、先輩……?」
でも、それをどうして、しかもこんな形で先輩がやっているのかはわからなかった。
「ふあ!?」
突然、口の中に何かが入ってきた。何があったんだと考える前に、後ろから誰かに抱きつかれる。それがさっきの眼帯の人で、口の中の異物は彼の指だと判断するのに、そう時間はかからなかった。
「あれ? 後輩ちゃん主に聞いてなかったの?」
二本の指が、私の口の中で動く。息ができない、苦しい。喋れない私は変わりにこくこくと頷いた。
……ああ嫌だ、彼の下半身が当たってる。
「あの人も本当に意地悪だなあ。僕らの本丸ではね、月末に毎回乱交パーティーをするんだけど、さすがに主一人じゃ全然相手をできなくてね。その分のメンバーの相手をするために呼ばれたんだよ?」
「!!?……」
乱交パーティー? 刀剣男士達の相手? ……私が?
何それ、聞いてない。そんなことをするために私は先輩に呼ばれたの?
嫌だ、帰りたい。先輩、どうしちゃったんですか? 私、そんなことしたくない。嫌だ。助けて、早くここから出たい!
「ほおら、よく見ておくんだよ。君が慕っていた先輩の姿をさ」
強引に、彼は私を先輩の方に向かせた。
「ああそうだ、自己紹介がまだだったね。僕は燭台切光忠。今あっちでフェラされてるのが薬研藤四郎くんで、水色の子が大和守安定くん。金髪の子は浦島くんでちっちゃい子が五虎退くんね。あと、あそこで酒を飲みながら主たちのことを見ているのがにっかり青江」
燭台切さんはひとりひとり指差しながら説明してくれた。端にいるにっかり青江さんは、言われるまで気がつかなかったけど確かに酒を飲みながら先輩たちをみてにやにやしている。
先輩は既に裸になっており、薬研藤四郎の陰部を加えている最中だった。
くちゅくちゅと淫らな音が嫌でも聞こえる。
「あるじさん、オレのも舐めて!」
「アハッ、いいわよ。もっとこっちに来なさい」
先輩は薬研藤四郎から離れ、浦島さんのあそこを全部くわえた。ぐちゅぐちゅと、また音が耳に入り込んで来る。どうして先輩はそんな顔して男のあそこを舐めていられるんだろう。考えられない。気持ち悪いだけなのに、あんなに嬉々として、下品に顔を上下させている。
浦島さんは「あっ、あっ、……あるじさん、すごい、気持ちいっ……!」と、うわ言のように言葉を漏らしながら緩やかに自らの腰を動かしている。その顔は至極幸せそうで、今にも溶けそうだ。
「ああ、あるじさんあるじさん、オレ、もう、出ちゃ……!」
「今日は早漏なのねぇ浦島。」
「だって、今日のあるじさん、上手すぎるからあ……」
「見知らぬ女の子にだらしない顔見られてるからじゃないの?」
「やぁっ……そんな意地悪なこと、言わないでぇ……!」
「主、僕のも忘れないでよ」
安定さんが陰部を先輩の顔に近づける。先輩は浦島さんの陰部を加えたまま安定さんの陰部を手で弄った。
「ホラホラ、ふたりとも一緒に精液ぶちまけなさいよ」
「あっあっ……あるじさん、もう、ムリ、出ちゃう!」
「んっ……僕も、出すよ……!」
浦島さんが大きく仰け反ったかと思うと、二人の陰部から白い液体が飛び出た。それは、どちらとも先輩の顔に飛び散った。
「キャハハッ! 出た出た、濃いザー汁顔に沢山出たわ!」
「主、僕今日誉取ったから、一番最初に入れてもいいよね?」
「んふ、いいわよ安定。そのぶっといチンポ私の中にちょーだい!」
先輩と安定さんが入れ替わり、安定さんがソファーの上に寝転がった。先輩はぎらついた目をしながら安定さんにまたがり、ゆっくり、しかしなんのためらいもなく自分の秘部に彼の陰部を差し込んだ。
「っはあ〜〜、チンポ来たぁ〜〜。キクぅー……」
よほど気持ちがよかったのか、入れただけで先輩は1、2回身震いした。
「動かす、よっ……」
安定さんは両手で先輩の腰を掴み、まずゆっくりと自身の腰を動かした。しかしそはほんの数回のことで、すぐに、だんだんとそのペースは速くなっていく。
「んっ、んっ、あっ、安定激しい……」
「主のナカ、今日も気持ちいいねっ」
「あはっ、今日も中出しキッツイの決めてね安定」
安定さんが腰を打ち付けているだけじゃない、先輩も、安定さんの動きに合わせて腰を動かしていた。陰部が先輩の中におさまるたび、先輩は艶やかな声で喘いでいる。
二人が快楽を味わっている頃、先輩の周りに集まっていた数人の刀剣男士たちは、彼女たちの行為を見て、自ら陰部を弄っていた。
その行為のやり方ですら獣を想わせて、目をかっと見開き舌をだらしなく出しながら、彼女たちの方を向いて陰部を掻いている。
「あるじさん、終わったらおしりに入れてもいい?」
「じゃあ中は俺っちがもらうな」
「ぼ、僕、僕は……」
「五虎退はあとでフェラしておしりいじってあげるからねえ」
先輩も、まるで獣のように舌を出してピストンを受けている。
「……」
狂ってる。
ここはおかしい。
先輩、私の知っている先輩じゃない。先輩はこんな下品な顔して、下品なことをする人じゃない。仮に先輩じゃなかったとしても、これは異常だ。
理性や羞恥なんてこれっぽっちもない、ただ本能に従うだけの性行為。それを肥大させると、こんなことになってしまうのだろうか。
「ひゃっ!!?」
「主たちを見てたら興奮してね……。そろそろ我慢できなくなって来ただろ?」
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