GUNDAM
世界一幸せな女の子。
朝日と、鳥のさえずりで私は目が覚めた。
時計を見ると今は7時。丁度、早すぎず遅すぎもしない時間だ。
今日は仕事がない。休みの日に早く起きてしまったことが少々もったいない気もするが、朝食を作ろうと私はベッドから降りようとした。
「だーめ」
突然、後ろからぎゅう、と抱きしめられる。
「起きてたの?」
「スイが起きた気配がしたから」
背中に顔をうずめられる。パジャマがこすれてくすぐったかった。
「んー、やっぱいい匂いがするなぁ」
「デュオだって同じ洗剤で洗ってるじゃん」
「スイから女の子の匂いが漂って来るわけ」
「なにソレ」
くすくすと私が笑うと、デュオも小さく笑った。
「ねえデュオ、くすぐったい」
「んー?」
すり……と、首の裏側にすり寄ってくるデュオ。
くすぐったいって言っても一向にやめる気配は見せず、それどころかパジャマの中に手を入れ始めた。
「ちょ、やめてったら」
少し体をねじり抵抗する。でも、後ろから拘束されてるから逃げるなんて不可能なわけで。
抵抗しながらも「ああ、無理だな」と、半ば諦めていた。
直に触れられるデュオの手が、少しくすぐったい。
くすぐったさと恥ずかしさで、顔が真っ赤になっていくのが自分でもわかった。
ふいに、デュオの手が私のお腹をがっしりと掴んだ。
「こちょこちょこちょー!」
「はっ!?ぶっ……ぎゃはははははは!」
油断していたせいか、私は盛大にデュオの攻撃を受けてしまった。
しかも抱きしめられてるから逃げられないわけで。
「ねっ……ちょ……デュオ、ほんとにやめて……」
「えー、どうしよっかなぁー」
「おねが……ぶふっ」
「じゃあスイがチューしてくれたらやめる」
「わかった……する、するから……」
ようやくデュオはやめてくれた。
さっきとは違う意味で顔を真っ赤にしながらデュオの方に向き直ると、デュオはしてやったり、とでも言うような顔でこちらを見ていた。
「ほら、キスしてくれんだろ?」
「……バカ、変態」
「なーんとでもー?あ、言っとくけど口じゃなきゃ駄目だからな」
にこにこしながらデュオは私を見つめる。
デュオはずるい。これで私が拒んだり、口以外の所にキスすると、もっとひどいことするんだから。
それに、もっともっとずるいのは、デュオは絶対私が拒否できないことを知ってること。
私がデュオのことを好きで好きでたまらないことを知ってるから、こういうずるいことを言ってくるんだ。
くやしいけど、その通りだから、私は目をつぶって彼にキスした。
「……『おはようのキス』ってやつだな」
「……そうだね」
ふっ、と、私たちはお互い笑いあった。
きっと、すっごく好きなのは、お互い様なわけで。
ああ、
私は世界一幸せな女の子。
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