GUNDAM

筋肉という名のトラップ


※実はそんなに筋肉ついてないとかクーデリアさんの服の露出少ないとか、細かいことは気にしないでry



誰もが一度は思ったことだろう。

「ターカキくん! ちょっと時間ある?」

「スイさん、どうかしましたか?」


廊下をひとり歩いていたタカキくんを、昼間は誰も使っていない、汗臭いみんなの寝床へと引きずり込んだ。

タカキくんはきょとんとしながら、私をじっと見つめている。くりくりした大きい目が眩しい……。

って感動してる場合じゃなかった。


「いやあ、実は着てもらいたい服があってですね」

「服、ですか?」

「イエスマム。これですよこれ!!」


私は後ろに隠してた洋服をタカキくんの前に引っ張り出した。


「えええ!!? これクーデリアさんのやつじゃないですか!?」

「イエスマム」

「これを着るんですか!? 俺が!?」

「イエスマム」

「丁重にお断りさせていだきますけど!!!?」


いやいやいや、誰もが一度は思ったことだろう。

大きい瞳、ばさばさの睫毛、バランスの取れた顔のパーツ。

こいつこそ今回の男ヒロイン枠であろうと!!

ならばそれ相応の格好をしてもらいたいと願うのは当然ではないのかね、諸君!(この場合誰に対して諸君を指しているのかは不明)

私の服? CGSに雇われてる私が女らしい服とか持ってるわけないでしょうがコノヤロウ。


「タカキくん。何も私は、自分の趣味でこんなことをさせようとしてるのではない」

「はあ(それ自分の趣味で着せてみたいって言ってるようなものじゃ……)」


「もし君がこれを完璧に着こなせることができれば、実行できる任務の幅はぐっと広がる。実際に女装して敵地に潜入した事例は歴代ガンダムにも数多くあるのだよ」


ティエリアしかり、ローラしかり、イーノしかりだ。ジュドー? 誰それおいしいの?


「もしもこれで任務をこなせば……? 三日月に褒められるかもしれないねえ」


三日月というワードを聞いて、タカキくんはぴくりと反応した。


「み、三日月さんに……?」

「そう、三日月が『今回はタカキがいなかったら出来なかった、ありがとう』ってやさしく微笑んでくれるのよ」

「三日月さんが、俺に……」


タカキくんの目がきらきらと光り輝いてきた。そして、何かを呟いた後、最後にこっちを向いてガッツポーズ。


「やります俺! 上手く着こなして見せますよ!」

「よし、そのいきだ少年!!」


ちょろいな。

謎のテンションに燃えているタカキが、物陰へ着替えに行く所を見守りながら思った。

……そして10分後……。


「で、できあがりました……」


タカキくんがおそるおそる物陰から赤いドレスを身に纏って出てきた。


「あっ……」

「あっ……って、何があったんですか?」

「い、いや、ちょっとね」


(しまったあああ顔のことしか眼中になかったァァァァァ!!! こいつ度重なる重労働で体ムッキムキだったァァァァァァァァァ!!! ごつい足が悲しすぎるわ!!!)


「……上半身だけならいけるから写真だけ撮っとこうか」

「お、俺、似合ってますか? なんか足がすーすーするんですけど、これなら三日月さん認めてくれますかね?」

「上半身だけならね」


こんなカレンなショタに重労働させて筋肉ムキムキにしやがって。CGS許すまじ。この日ほどてめえらを恨んだ日はねえ。

でも照れながら笑ってくれたタカキくんべりーべりーキュートだからまあいいや。わたし満足。


「すみません、こちらに私の服がありませんか? 洗濯に出してから行方不明になってしまっていて……」

「あっ」

「あっ」

「あっ」



完。



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