GUNDAM

初恋サイダー


いつも、いつでも一緒だった。

あなたが地球へ降り立ったときも、また宇宙に上がったときも、今こうしてジャンク屋をしてるときだって、ずっと一緒だった。

当たり前すぎるくらい、『友達』の時間が長かったせいで、ずっとこの気持ちを押さえていたの。

いつだって、今だって、一緒なのにね。

ほら、ちょっとした買い物だって、あなたの隣を独占してるのよ? あなたのキラキラした笑顔や、尻尾みたいな髪の毛が、女の子たちの視線を釘付けにしてるって知ってる? それを見て、私が少しだけ誇らしげになってることは、もっと知らないんでしょう。

あなたが私だけに笑顔を向けるだけで、私の心は幾千もの花が咲いたみたいな気持ちになるのよ。

あなたのくせや性格だって他の子より知ってるのにね。


「なあスイ」


ふいに、前を歩いてるデュオが立ち止まった。思い出したように振り替えって、くりくりした大きな目で私を見る。


「なに?」

「目、つぶってろよ」


目を? なんで?

意味がわからないで、デュオに聞いてみるけどデュオはただいいから閉じてって私を急かすだけ。

不思議だったけど、私は言う通りに目を閉じてみた。ぽかぽかしたあったか異世界が、一瞬でフェードアウトする。

なんだろう。なにするんだろう。

ドキドキしてデュオを待っていると、ピタリと頬にひやりと冷たいものが当たった。

私はちょっとびっくりして、ひゃっと小さく悲鳴を上げた。

恐る恐る目を開けると、デュオがにやにやしながら私の頬辺りに手を当てていた。


「いつも頑張ってくれてるご褒美」


今日、サイダーの日なんだぜ。知ってたかって、イタズラが成功した子供みたいな顔してデュオが言った。

頬に当てられた物を手に取ると、そこには透明な色の液体の中に、キラキラした泡がいっぱいに閉じ込められたサイダーが。

私は少し呆気に取られて、デュオの顔とサイダーを交互に見つめた。

そんな私を、デュオは大笑いしてからかった。


「あっはっはっはっは! キスでもされると思ったか?」

「そうやってからかって!」


私が真っ赤に怒ると、デュオは笑いながらまた前を歩き始めた。

ばか。いっそキスでもしてくれたらいいのに。

あなたの背中を見つめて思った。

私は構わないんだよ。女の子からするのはちょっと違うかなって、ずっと待ってたのに。デュオは全然気持ちに答えてくれないんだもん。友達同士って、境界線今すぐに飛び越えたいの、わかる?

鈍感なあなたのことを振り向かせたいから、私から勝負かけるの。

いくじなしで、恥ずかしがりやな
あなたをもう待ってられないから、私からキスをあげる。今さら『好き』や『愛してる』なんて言葉より、効き目があるでしょう?

ああ、あなたはどんな表情をするのかな。笑って許してくれる? 情熱的に抱きしめてくれる? どんなあなたも、きっととっても魅力的なんだろうな。

この気持ちが、このサイダーみたいに弾ければいいのに。

ずっと、ずっと!





end.

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