青の破軍
1
「来た……三日月・オーガス!」
まるで打ち合わせでもしたかのようなタイミングだった。あと数瞬遅れていたら私のMWは粉々になっていただろう。
白いMS……ガンダムは瞬く間に敵のMSをひとつ、戦闘不能にしてしまった。
ガンダム。
正式な名前は知らないけれど、あの白いフレーム、四角い顔、長いツノ。
間違いない。あれは度重なる宇宙戦争で必ず姿を表し、名だたるエースパイロット達や、最新兵器を撃破し続けた伝説的な機体、ガンダムタイプのひとつだ。
『大丈夫? アイリン』
マイクから三日月の声が聞こえた。
「なんとかね、ミカちゃんが来てくれたおかげで」
『MSはこっちでやる。アイリンは後退していくやつらを』
「わかった」
本音は、小さくて動きの鈍いMWが邪魔なんだろう。私だったらそう思う。
だから素直に従って敵MWの追撃に向かった。
弾の残り数からして、全機を倒せるとは思っていない。それでも、出来る限りのことはしなければ。
……って、思ってたけど。
「あれっ、後退してる?」
敵軍は1軍を追っているようではなかった。まるで別方向に走っている。
敵の指揮官、こっちがMSを出してあわてて撤退命令を出したのか?いや、さっきミカちゃんがぶっ倒したのが指揮官で、指揮官を失ったための撤退か?
どちらにせよ、これ以上の被害が出ないことは確かだ。こっちだって追いかける余力もない。願ったり叶ったりだ。
「オルガ、MWは撤退しよう! 敵は後退していってる!」
『そんなもん既にやってる! お前ひとりが勝手に先行しすぎだ!!』
「あれ? そうだったっけ」
確かに、辺りには敵も味方もMWは一機たりとも残っていなかった。
私はあわてて基地へ走った。
夢中で周りが見えてなかったや。テヘペロ!
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