青の破軍
2
「ねえユージン、ディズニーランドって知ってる?」
「はあ?」
「夢とネズミの王国でね」
「夢とネズミの王国!?」
「映画でしょっちゅう黒いフード被った熟女がフヒフヒ言いながら大釜をかき回してね」
「夢とネズミの王国で熟女が大釜をかき回す!?」
「毒リンゴを作って白雪姫に飲ませて殺したの」
「夢とネズミの王国で熟女が姫を殺す」
「倒れていた白雪姫を7人の小人が発見して、死体愛好家の王子さまがそれを保護……」
「フェリオそれ、随分片寄った言い方してるよね」
「はい」
でも間違ったことは言ってないでしょ。たぶん。
ちぇっ、ユージンはなんでもうのみにするから面白かったのに。邪魔しやがってビスケットめ。
ユージンは「なんだよ騙しやがって!」とおこ気味だ。ていうか少しは疑え。
「つまり、俺たちはその熟女みたいだっていうのか?」
「だってこう、錬金術師みたいなことするの楽しいじゃん?」
「ただ眠り薬混ぜるだけだろ」
ただ今、私とビスケット、ユージン、ノルバは夜ご飯に薬を混ぜてます。
アトラ達が作ってくれた温かいスープにですよ。ごめんねアトラ達、せっかくのご飯を薬入りにさせて。
これをみんなに食べてもらって、あとはオルガやミカちゃん達と、みんなに一泡吹かせてやるんだ。
……でも、一度くらいやってみたくない? 魔女ごっこ!
大鍋にカボチャとか混ぜたり、ほうき乗って飛んでみたり、杖持って「エクスペクト・パトローナム!」とか。それこそディズニーで言えば「ビビデ・バビデ・ブー」か。
「ほかにも、地球じゃ世界的に有名な10万ボルトを体から出すネズミと喋るネコを飼ってる話とか……」
「体から10万ボルトを出すネズミ」
「ユージンもシノも、うのみにしなくていいよ」
[25]
*前次#
ページ:
ALICE+