青の破軍
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「しゃあああああっ!」
まるでヘビが唸るような、枯れた声が耳を掠める。
同時に、ビームサーベルが敵のMSを斬った。
バルバトスと違って、Hi-νガンダムのコクピットは360度カメラになっている。つまりコクピットの中、全てで外の様子を確かめることができるから、より生身の時の感覚で戦えるようになるというわけ。
だから、アタシが斬った敵のMSをきちんと確認できた。サーベルが熱でMSの装甲を焼き斬る所もしっかり見たし、敵が動けなくなったのも確認した。
敵は見たことのないMSに困惑しているのか、遠距離攻撃しかしてこなかった。この世界の人たち、どういうわけかビーム攻撃を一切しないから、ビーム兵器にびびってるのかもね。
そんな様子見の生ぬるい攻撃じゃこっちも面白くないから、わざわざビームサーベルでガンガン敵を倒していってるけど、これが逆効果らしく、敵に距離を取られるだけだった。
テキトーにライフルで撃っても面白くないしなあ。ファンネル使うか? いや、それこそ面白くない。
そうこう考えているうちに、またひとつ切り捨てた。とっさに斧を構えたみたいだけど、へっぴり腰な攻撃してちゃあ、間に合わないでしょ。
「…………くっそ!」
私は思わず舌打ちした。
「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い!!」
なんか、だんだんイライラしてきた。せっかく戦場に出たっていうのに、数もこれだけいるのに、この程度?
「全ッ然つまらないんだけど! あんたたち、それでも正規のパイロット? 平和ボケでもしてんじゃない!?」
……いや、指揮官をやられて向こうも混乱している? 攻撃が、あまりにもろすぎる? さっきミカちゃんが倒したやつだろうか……?
そしたらまあまあ納得いくけど、ああ、それなら私、なんて不運なの!
あと、残り数機。たぶん4機もいない。
撤退するかもしれない。こういうときは、一度帰って作戦を立て直すことがよくあるから。それも指揮官がいてこそか?
逃げ帰る敵を追ってもつまらないしなあと考えていたら、突然MSが一機突っ込んできた。
油断していて、反応が少し遅れた。避けることはできる。でも、私はあえて攻撃を盾で受け止めた。
相手の勢いがつきすぎて後ろに押された。Hi-νガンダムがパワー負けしている。
「思いきりのいいパイロット! いいね。だけど……」
早く退かないと、コクピット串刺しにしちゃうよ?
私はもう片方の手にサーベルを装備した。くるりと手を回転させて、敵のコクピットを貫けるよう構えた。
しかし、いざふり下ろそうと操縦菅を握ったところで、コクピット内にノイズが走った。
『貴様ぁ! よくも味方を! わけのわからない武器で我々を混乱させて!』
有線通信?
このタイミングで?
『答えろ! なぜクランク二尉を殺した! 貴様達に何の大義があって……!』
この声……。
アイン・ダルトン?
もしアインさんなら、なんて人なの。この状況で敵と交信するなんて!
「『青い揺光』って知ってる? これ、私の異名なのよね。私って、行く先行く先みーんな倒しちゃうからさ」
『その声っ……?』
相手の声が震えた。動揺が見える。
間違いない、この人はアインさんだ。
『アイリン? アイリン・レアか?』
※どうやら鉄血ではビーム技術は廃れてる、詳しく言うと既にビーム対策技術が発達しまくって必要がなくなった的なことを目にしたのですが……。
ぶっちゃけファンネル使いたいので『あんまりビーム兵器を使わなさすぎて、もう対策することもしなくなった』体でいきます。
まあ、ミノフスキー粒子=エイハブリアクターという感じで……。
ファンネルは浪漫だよね!!
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