「……と、言うわけなんだ。何とかならないかな?」
そんな上司の台詞に思わず溜息を吐いた。
時は遡り、某月某日。
「という訳でなんだ……じゃなくてですね!」
「ん、どうかしたのかい?」
明星千歳は本当の上司である森鴎外に呼び出しを受けていた。現在潜入している犯罪組織の奴らが血眼になって探しているNOC──元スパイと呼ぶべきか──はどうやらこのポートマフィアに所属している人物だったらしい。ナンダッテー(棒)
ということは俺が潜入させられたのはその人物がヘマをしたからだったのか、と聞くとそういう訳では無いらしい。そのNOCだった人物は元々ほかのマフィアの構成員だったが、何故か所属していたマフィア、挙句国際的犯罪組織にまで目のかたきにされてしまったらしい。そんな人物を引き入れた慈悲深い(ここ重要)森鴎外がデメリットも無視して引き入れた理由。それは以前シマで起きたポートマフィアの構成員が殺害された事件が関係している。その構成員を殺した組織について教えてくれたのがその人物というわけだ。まあ、話すと長いので割愛する。
「本当にどうするんですか?アイツがコチラに匿われていることはバレていると見ていいでしょう」
「そうなんだよね。彼を引き渡せば安全にことは済むんだけど、約束だからね」
約束、それは組織の情報を包み隠さず話すから、自分に手を出さないでほしいというものだった。
「へぇ、そういう約束ですか」
「所詮は口約束、別に破ってもいいんだよ。元々、彼にそんな利用価値は無いからね」
それは最もだ、と俺は思う。
約束事をするなら紙に書くか、コンピュータに記すかして、置くのが安全だ。ポートマフィアがそういう組織だと知ってそういう風に条件を持ち込んだのならば、この男は……相当自分の力に自信があるのだろう。