残念ながらベタ惚れ

俺はバレーが好きだ。












残念ながらべた惚れ
俺が一番好きなもの。
















学生は学業が優先だとよく言うが、俺が学業を優先したのは中学の3学期。その時だけ。
高校でもバレーをする為だ。

しかし、第一希望の高校には落ちてしまった為、第二希望の高校へ。

それでもバレーはできるから関係ない。


そしてまた優先順位は学業からバレーへ変わった。


だけど学校側が学業を優先という限り、俺がどうやってもバレーを優先出来ない時がある。


ーー赤点はないでしょ。


そう、一番の敵はテスト。
テストで赤点と呼ばれる点数を取ると遠征に行けなくなるのだ。

月島の当たり前でしょ。という顔がなぜだか鮮明に蘇る。

どうする。授業は真面目に聞いた。
だけど今まで寝ててノートがミミズ字の時点で今回のテスト範囲の半分以上はOUTだ。

テスト前に見返すなんて事すら出来ない。


『影山くん、プリント出来た?』
「え?」
『…出来てない感じだね。影山くんが終わらないと私も帰れないからさ…』

そう言えば隣の人とペアになって提出とか言ってたきがする。

『もしかして分からない?』
「いや、別に…」
『まぁ、いつもバレー頑張ってるから仕方ないよ。教えるから、早く帰ろ。』

テンポ良く話す彼女。
そのペースにいつの間にか載せられている俺。

『だから、これは判別式Dを使うの。』
「判別式D?なんだそれ。」
『判別式Dっていうのは…』

的確にポイントを教えてくれる彼女。

あぁ、そーいや前のテストで学年一位だっけ…


そう思いながら彼女の言う通りに解いて行く。


『影山くん、やれば出来るじゃん!』


そう言って笑った彼女。
何故か胸がドキッとした。

*
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『そう言えばさ、飛雄。』
「あ?」
『飛雄と初めて話した日、私は優しーく教えてたけどさ、この人ホント馬鹿だなって思ってたんだよね〜。』
「うっせー。」
『でもさ、テストになると毎回教えてたの、なんでか分かる?』
「知らねーよ。」
『飛雄のバレーしている姿、とても楽しそうに見えたから。なら、私は少しでもバレーが出来るように協力したいって思ったの。』

今では俺の彼女となった美月は言う。

『あ、あと飛雄、私にベタ惚れしてたでしょ。』
「し、してねえよ!!!」
『嘘つけ。マレネージャー勧誘しまくってたくせに。』

赤くなった俺を見て美月は笑った。

『でもまぁ…私も飛雄の事、今じゃベタ惚れなんだろうけど。』

ギュッと抱きつく彼女にさらに顔を赤くした。

「美月、俺はベタ惚れはしてねーけど、…好きだ。」
『何番目に?』
「世界で一番。」
『…バカ。』

よく見ると美月も顔を赤く染めていた。

『それってベタ惚れって事じゃない。』

そして顔を見合わせて笑った。

確かに、バレーと同じくらい好きだ。いや…もしかしたらそれ以上。
その時点で俺はベタ惚れだったんだと思った。


Noah