『……えっと日向くん?』
「絵、とっても上手だね!」
じーっと見られていた絵を褒められる。
『あ、ありがとう。』
これが彼と初めて交わした言葉だった。
この恋、君色
私の好きな色は、 私の恋の色。
「美月は絵が好きなの?」
『え?あ、うん…』
突然呼ばれた名前に驚く。
しかも下の名前で呼んだから尚更だ。
『…絵は好きだよ。現実にあるものもないものも表現できるから。』
「俺はバレーが好きだ!」
『そ、そっか。』
彼はバレー部に所属しているのは知っていた。だから、それを聞いても驚きはしない。
私のクラスでは、彼がバレー好きなのは有名だからね。
『日向くんは…えっと…スパイカーだっけ?』
「え、知ってるの!?」
『だって、エースになるって言ってたでしょ?』
日向翔陽です!バレー部に入って、エースになってみせます!
彼が言った自己紹介は今でも鮮明に覚えている。目をキラキラ輝かせてエースになると言った姿は私には無いものを持っているようで羨ましかった。
「覚えててくれたんだ!」
『日向くんだって、私の名前覚えてたでしょ?』
「それはクラスメートだから普通だよ。」
そう言って笑う彼に自然と心を開いていく気がした。
「美月は何で一人でやってんの?」
『まぁ…女子には色々あるんだよ。』
いつも貴方ばかり入選して、賞をとってさ…
私たちの事、本当は見下してんでしょ?
『私の絵は嫌われているんだよ。』
「え、俺は好きだよ。」
『え?』
「美月の描いた絵、すごく好きだよ。
俺、絵とかあんま分かんねーけどさ、なんかあったかくなる。
絵に興味ない人にそうな気持ちにさせるのってすごいと思うよ。」
ニコニコと笑いながら言う彼にドキッと心が高鳴った。
『そんな風に言われたのはいつぶりだろう…ありがとう。すごく嬉しい。』
「…頑張れ。」
『え?』
「今は分かってもらえなくても絶対分かってもらえるよ!俺にはこれだけしか言えないけど…俺は美月の仲間だ!」
『仲間…?』
「うん!いつでも助けてやる!」
「日向ー早く戻ってこーい!」
そんな声が聞こえて来て彼は慌てたように言った。
「ごめん、もう行かなきゃ!」
『あ、うん。頑張ってね。あと…ありがとう。』
そう言うと彼は人懐っこい笑みで手を振った。
「また明日!」
『うん。』
かけてく彼の姿を見つめる。
ドキッと高鳴る鼓動。
夕日が彼を照らす。
オレンジ色。
輝かしく、明るく、
元気づけるような色。彼の色。
そして私の恋の色。