茜空を抱きしめる

出会いは高校。初めはただのクラスメート。偶々隣の席になってからは、まるで初めて話す相手とは思えない程、なんでも話せる中になっていた。だけどそれは俺だけではないようで…

「美月ちゃん、おっはよーう!」
『おはよ、今日も徹は元気だね。』

俺の幼馴染で相棒という腐れ縁のこいつも、俺と同様に何でも話せる様だった。だから、すぐに分かってしまった。
俺も、及川も…美月に同じ想いを寄せていることを。
俺が気づいたのなら、及川が気づかないはずない。もしかしたら、俺が美月に対して想いを寄せていると自覚する前から、気づいていたのかもしれない。

「岩ちゃん、気づいちゃったんだね。」
「…おう。」
「そっか〜。俺たち、長く一緒にいすぎて好きな人まで同じなんてすごいよね。ほーんと、今回ばかりは嫌になるよ。」

相手が俺でなければ、及川はここまで悩むことなく、猛アタックしただろう。
こいつは変なところで俺に優しすぎる。俺がこの想いに気付く前に、美月が好きと言えば良かったのに、それを言わなかったのだから。きっと、その言葉を言えば、俺は美月を好きだと認識しようとはしなかったはずだ。

「及川。お前の思いはお前だけのもんだ。俺なんか気にすんな。俺も、お前のことなんか気にする余裕なんてねぇよ。」
「全く、わざわざ待っててあげた俺にありがとうもないわけ?」
「お前が欲しいのは俺からのありがとうって言葉じゃねぇだろ。」

すると、ニヤリと笑ってみせた及川。そんな及川に俺も笑ってみせた。
それからは、お互い攻防戦だった。何とかして二人で話そうとすると、いつの間にか及川が隣にいたり、逆に二人きりで話しているのを見つけたら、遠慮なく入った。
俺たちの思いも知らずに、楽しそうに笑っている彼女に溜息が出そうな時もあった。それでも、結局は彼女のそばにいたいと思ってしまう自分がいるのだから、恋は本当に厄介だ。


Noah