バカ、意識しすぎ

呼び出された体育館裏へ行ってみると、
そこにいたのは影山くんでした。
























バカ、意識しすぎ
君から頂いた挑戦状に、あっけなく私は落ちて行くのです。


























「吉村、好きだ。」

人生初。
とても背が高く、バレーが大好きでイケメンと言われる影山飛雄。
そんな彼と何か縁があっただろうか。いや、話すこともそんなになく、クラスメートという間柄のみ。
そんな彼が何故私に告白などしてきたか分からなかった。

『えっと…私、影山くんに好きになってもらえるようなこと…してないけど……』
「でも、好きだ。」
『えっと…でも、私は影山くんの事、全然知らないから……ごめんなさい。』

そう言うと彼は黙り込む。
この沈黙をどうしようか。
なんとも言えぬ居心地の悪さに私も黙り込む。

「なら…」

ふと、口を開いた彼を見ると少しだけ楽しそうに言った。

「これから、俺の事を知れ。」

何で命令口調?
そんなことを思いながらも目に焼きつく彼の笑顔。

『努力はするけど…」』

そう言うと影山は、練習を日曜に見に来いと言ってきた。

『そういえば、見たことないな…烏野のバレー部。』
「そりゃそーだろ。」
『気分が乗れば…』
「あ?どうせ暇だろ?」

その通りです。と言うしかないだろう。
だって、暇だから。

『なら…少しだけ覗きに行くよ。』
「おう!」

そう言うと彼は笑った。
その輝くような笑顔はとても眩しく見えて少しだけ胸が高鳴った。

*
*
*
*

『す、すごい…』

日曜日、本当に覗くだけのつもりだった。だけど、いつの間にか目を奪われている。生き生きとボールを追いかけ、拾い、宙に上げ、打ち放つ。
単純なこと動作のローテーション。だけどそれだけでも心を熱くさせるものがあった。

「おう」
『影山くん、すごいね。バレー、すごく上手だった!』

素直な感想を述べれば彼は顔を赤く染める。

「次、ゲームするから見てろよ。俺はセッターで攻撃するわけじゃないけれど…」
『それでも、影山くんの頑張ってる姿を見れるなら私は見てるよ。』

言ってから驚いた。
まさか、そんな言葉を言うなんて。

『いや、えっと…上から目線だよね!ごめん!』

すると彼は私の頭をくしゃりと撫でた。

「ちゃんと見てろよ?」

そして楽しそうに笑う。
この表情ーーー
告白を断った時に見せた表情、ボールをを宙に上げる時、決まったときに見せる表情と同じだ…
ドキッと高鳴る鼓動は嫌でも感じられた。

「美月。」

呼ばれたのは自分の名前。
吉村ではなく、美月と呼ばれた。
そんな事に驚いている暇などなかった。

「ぜってー好きって言わせてやるからな。」

好戦的な笑顔は私の胸をときめかせる。
ゲームは始まり、生き生きとプレーをする彼を見ながら高鳴る鼓動を抑えきれずにいる私。

『最後にあんなこと言うなんてずるいよ。影山くん。』

思い出せばきっと私は顔を赤くしてしまう。だけど意識してしまう彼の言葉。
あぁ、私はきっと遅かれ早かれこの笑顔に恋をし、彼を愛する羽目になったのだろうな。と、思ったのだった。


Noah