今日もせっせと、お尻の穴を舐められる。四つん這いの体制にされることがその合図だ。気持ちよくも悪くもないそれに漏らす声、は、謎の気遣いからきている。セックス時の女は誰だって女優だ。にしても彼はなぜこんなにもお尻の穴が好きなのか?変態、と一言で済ますにはかなり難があると思う。


「いただきまーす」
「おお…。食欲満たして、性欲満たして、また食欲?すごいねえ」
「チョー人間してるって言ってくださいー。」
「でも俺も腹減ってきたかも」
「ほーら!」

シャワーを浴び終わってきらきら光る銀髪が隣に座る。このホテルの近くで調達したバターサンドを食べる私を呆れながらも、でもちょっと羨ましそうな目。すぐ煙草に火を付けて、吹かす煙の匂いが彼を表しているようだ。

「食べます?」
「いいよ。でもなんか小腹が空くんだよなぁ」
「唐揚げ食べたいです。揚げもん〜」
「えぇっ。それはドン引きだわ」
「コロッケでもいいです。」
「んー…カフェでも行く?」
「行く!」

コロッケ希望してんのにカフェって。と思ったけど、この人はいつもこんな感じ。私の話はほぼ聞いていない。寄り添っている風。でも、どうしても冷たくできない。断れない。昔の記憶も邪魔したりして、昔にしきれていない。だから今、私はここにいるんだろう。

「ねぇ、悪いけどこれ…」
「持って帰りたくないです!」
「あんまし効き目無かったなぁ」
「もはやほぼ無かったんじゃ…」
「5千円ドブに捨てた気分。」
「アハハ」

そう言って渡されたのは、軟膏剤。この銀髪イケおじは、残念ながら早漏である。パッと見、仕事は役職持ち、背も高い、イケメン。非の打ち所がない…と思いきやありました。的な残念オチ。だから1分なんて持ったことはない。正直挿入されて気持ちいいとあんまり思ったことはないが、さすがに数十秒で終わられると物足りない。

そこで今回、おじさんは軟膏剤を買ってきた(かわいい)。する前にソレに塗ると早漏がマシになるらしい。……結果は、まぁ、散々だったわけだが。でも保存するのには冷蔵庫で、らしく私に押しつけてきた。会社の冷蔵庫なんて置けないし。家なんて絶対無理だろう。

「(持って帰ってくれたら)他で使ってもいいから」
「いや、そもそも家にあるって時点でおかしいですし」
「あっ…確かに。」

ハハハ、と笑って煙草を灰皿に押し潰した。左手の指輪にもう慣れすぎて何とも思わない。あの頃よりももっと、ドライな関係になったなぁ。なんだか他人事のようだ。

家に帰っても怒ってくれる同居人はいないし、昔はあれだけ会っていたのにおじさんともこんな頻度に落ちた。全て良い方向に向かっているのに、私だけが沼で息をしている。

「次もっとたくさん濡れば効果あるかも。」
「薬に勝っちゃったのによく言いますね…。」
「量の問題って可能性も、」
「だといいですね。」

仕方なく鞄に袋でグルグル巻きにした軟膏剤を入れた。イヤだけど。でも、これは私としか使わないからって言われている気になっちゃって。絶対そんなことないんだろうけど。なのにちょっと口元が緩む私こそ、はやく消えてしまえばいいのに。あー、今日も互いに名前呼ばなかったなぁ。