LINEのトーク画面を見ると、あの頃常に上位に在中していたおじさんのアイコンはもうない。ただの業務連絡手段に成り下がった。そんなちょっとした変化にも気付いてしまう。慣れた、とは強がりの代名詞だ。何度口にしても、その通りにはなってくれない。


「うんちしたいんで、電話番お願いできますか?」
≪はいはい。行ってらっしゃい≫

土曜日のお仕事、とは。事務員の私にとっては電話番のみ。それに交代出勤日であるが故に、事務は二人だけ。先にお昼休憩を貰った私は、もう一人がランチに行く姿を見送って別の階にいるおじさんに内線した。他の営業さんでも良いのだが、彼以外は出払ってしまったので(ラッキー)。

気持ちの良いうんちをして、スッキリしながら歯を磨く。あの人が休憩から帰ってくるまであと30分とちょっと。先にシュレッダーのゴミを取って、おじさんの所に遊びに行こうかな。と思いながら席に戻った。

「ありがとうございました〜」
≪いいの出た?≫
「それはもう、ご立派なやつが。スッキリです」
≪よかったね。あー、外の喫煙所で雀が巣作ってるの知ってる?≫
「知ってますよ!階段のところですよね」
≪知ってたの?俺昨日気付いてさ。鳴き声聞こえるなって見に行った≫
「アハハ。可愛いですよね」

なんて話しつつ切られた内線。久々に話題振られた気がする(内線では特に)。でも雀の件、私が知らないと思って言ってくれたのかな。と思うとちょっとほっこりする。早く遊びに行きたいし、シュレッダーのゴミ…。と、給湯室にあるゴミ袋を取り出していると、ふと感じる人間の気配。

「!っわ、…ビックリした」

給湯室の入り口におじさんの姿があった。驚いた私を余所に、こちらに直進してくる。だから驚きすぎた気もするが、嬉しいがすぐさま勝ってしまう。そのまま抱き締められると、反射的に抱き返す。いつも私が営業さんの階に下りていたので、ここに来てくれることが本当になかった。ので、嬉しさと可愛さに口元が緩む。

「来てくれたんですか?」
「…まぁ。」
「私も後で行こうと思ってたのに。」

そう言うと、首元に落ちてくる彼の顔。体格差があるから、抱き潰されてしまいそう。余韻に浸る暇も無く、今のは幻だったのか。なんてぐらいにササッと自らの階へ戻って行った。いや行動早いな。でも嬉しいなぁ自ら来てくれるなんて。今日は良い日なのか?と思いながらゴミを替えて、おじさんの階へ行った。

「雀、知ってたんだね」
「うん。この前階段に置いてる観葉植物伐採してるときに同僚が気付いて」
「雀の子どもって見たことないから見たいんだけど、なかなか見れなくて」
「確かに。私もないかも」

私がその階に下りると、すぐ雀の話をしてきてかわいい。でもしれっと立ち上がって、私を抱き締めてくるところのほうがもっと可愛い。いつも営業さんで賑わうフロアで、だからこその背徳感もきっとある。まぁ、すぐにおっぱい触ってくるんだけど。

「こーら。」
「ケチケチしないの」
「ダメです。」

なんて言いながらも本気で嫌がっていないことを知られているので、もみもみは継続である。でもおしりに硬いものが当てられたので、さすがに手を払った。早漏は勃つのも早い。

「ちょっとだけ(触って)」
「イヤです。」
「お願い」
「イヤ!」
「少しぐらい良いじゃない」
「しつこい」

勝手に触ってきて、勝手に勃って、触らせてこようとする勝手マン。会社で触って欲しいなんて、AVの見過ぎだな。と呆れた表情をするも、アホすぎるのでつい可愛いと思ってしまう。もう私の負けだ。一時期、本当に他人に戻った(と思っていた)期間にはもう戻れない。ガム子でよかったのになぁ。

「名前ちゃん。」
「きもっ」
「酷いなぁ。こっち(おいで)」
「えー」

なんて言いながらも、手招きに適わない。近づくとマスクを下げられて、簡単に重なるそれ。職場であるまじき音が漏れる。雰囲気エロすぎる。だから土曜日ってきらいだ。流されちゃうことを求めてる。

「君もエロくなったねぇ」
「…誰のせいだと。」
「ハハハ。」