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「あ…あの…陛下…
一体、どういうことで?」

俺は、率直に訊ねた。



「今、言った通りだ。
アンジェラは、すでに了承している。」

「えっ!?」

アンジェラは、俺を見て微笑んだ。



確かに、彼女は美人だ。
しかも、爵位や屋敷ももらえる。
こんなうまい話はそうそうないだろう。



アンジェラはすでに了承したと言っていた。
確かに、断るにはもったいない話だが、俺がどんな奴かも全く知らないのに、結婚するっていうのか?



そりゃあ、貴族とかならそういうこともあるだろう。
ほとんど知らない相手でも、ただ家柄が釣り合うからだとか、家を立て直すためとかいろんな事情から。
だが、俺はそんなしがらみのない自由な平民だ。



それに、エドワード王がなにを考えてそんなことをしようとしているのかが気にかかる。
もちろん、エドワード王には逆らえない。
逆らったら、どんなことになるかわからない。
だが、そうわかっていても、俺はエドワード王に従うのが嫌だった。



結婚詐欺なんてろくでもないことをして来た俺が言うのもおかしいが、それでも俺は愛というものを信じている。
本当に結婚するなら、もちろん愛する女としたいと思う。
そうなったらまともに働いて、贅沢なんて出来なくても良いから、愛する妻や子と穏やかに暮らしたい。
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