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「あ、あの…陛下…
なぜ、俺が彼女と結婚を…?」

「……何か、不満でもあるのか?」

その表情は穏やかだったが、視線は鋭くなっていた。



「い、いえ…そういうわけでは。
ただ、俺みたいなろくでなしに、なぜ、そこまでして下さるのか、と…」

「……案ずるな。
何も考えることはない。
そなたには、今後、何不自由ない生活が約束されるのだ。
……余からの贈り物をただ素直に受け取れば良いのだ。」

「あの…実は、俺はお恥ずかしい話なのですが、これまで結婚詐欺師をしていたんです。」

「ジョシュア…余は先程、申したはずだ。
何も考えるな、とな。
そなたが今までどんな暮らしをしていたかなど、関係ない。
気になるのなら、そんなことはすべて忘れよ。」

「……はい。」



エドワード王のその口調は明らかに苛立っていた。
それがわかっていながら、何か言えるはずもない。



俺は、黙々と料理を口に運んだ。
本当はうまい料理なんだろうけど、味なんて全くわからなかった。
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