16
「……どうか、したのか?」
「え?」
あ、私ったらまた妄想に走ってて…
「あ、あはは。
記憶を失ってから、なんだかぼーっとすることが多くて…」
「それはいけないな。
モルドに着いたら、医者にみてもらおう。」
(え……!?)
「だ、大丈夫です。
僕は昔から、ぼーっとしてる子だったみたいです。」
「そうなのか?ネイサンがそう言ったのか?」
「は、はい。」
嘘、吐いちゃった。
でも、そうでも言わないと心配かけちゃうし、仕方ないよね。
「あ、あの…アルバートさんは、ご兄弟はいらっしゃるんですか?」
なんでか知らないけど、私はそんな質問をしていた。
「あぁ、妹が一人いる。」
「あの…アルバートさんは、おいくつなんですか?」
「24だ。」
(わぉ!もうちょっと上かと思ってた。
私とほぼ変わらないのに、なんか落ち着きがあるんだよね。)
「こんな年になっても、恥ずかしいことにまだ独り身なのだ。」
「え?24なら、そんなに恥ずかしいことはないと思いますが…」
「そうか?モルドでは結婚は遅いのか?」
「え?えーっと…その…そういうことではなくて、ほ、ほら、うちの兄もまだ独身ですから。」
「なるほど。そういえば、ネイサンは私と同い年だと言っていたな。」
そ、そうなの!?
ネイサンさんもそんなに若いんだ。
え?じゃあ、私はネイサンさんより7つ年下って言っちゃったから、17歳ってこと?
えーーっ!?それは無理があり過ぎるんじゃあ……
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