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「えっと…アルバートさんは、どんなタイプの女性がお好きなんですか?」
「好きなタイプ?
君は面白いことを言うのだな。」
「え?どうしてですか?」
「いや…私は今までそのようなことを考えたことがなかったから。」
「ええっ!?誰かを好きになられたことがないのですか?」
言った後で馬鹿なことを言ってしまったと思ったけれど…言ってしまったことはもうどうにもならない。
「そうだな。正直言ってない。」
「えっ!?」
「おかしいか?
……そうかもしれないな。
そうだ、もっとおかしな話をしよう。
実は、私には好きな者がいるのだ。」
(好きな人?
え?でも、ついさっき、誰も好きになったことがないとか言ってたのに、どういうこと!?)
「あの…それは一体どういう…」
アルバートさんは、穏やかに微笑む。
「……私はきっといつか運命的な出会いをする。
昔から、ずっとそんな想いが胸にあり…
縁談もなんだかんだと理由を付けて、断ってしまった。
……私は待っているのだよ。その人と出会えるその日を……馬鹿馬鹿しい話だろう?」
(うっ……)
なんだか急に胸が詰まって、涙が込み上げた。
アルバートさん、可哀想…
アルバートさんはもう死んじゃったから、そんな人と巡り合えることもないのに…
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