20
「いよいよ、明日だな。」
「長いようで意外と早かったですね。」
ついに、船旅の最終夜となった。
私達は、いつものように食堂で夕飯を食べていた。
最初は船酔いに苦しめられて辛かったけど、途中からはそれにも慣れたし、退屈と言えば退屈だけど、のんびり出来たし、
明日、モルドに着いたらどんなことが起きるのかと想像すると、ドキドキする。
「ネイサン、モルガーナの城下町にはどのくらいで着く?」
「乗合馬車が出てますから、うまいこと馬車に乗れれば数時間程です。」
「そうか…」
そう言ったアルバートさんの顔が、一瞬、険しくなったように感じられた。
モルガーナに着いたら、アルバートさんは何をするつもりなんだろう?
そして、それはアルバートさんの想い通りに出来るのかな?
とにかく、すべては明日だよ。
明日の何時に港に着くのかわからないけど、きっとそこでなんらかの結果みたいなものが出ると思う。
あぁ、なんか緊張するな。
もしかして、港にご先祖様とかが迎えに来てたりするのかな?
パパのおばあちゃんはアルバムで見たことはあるけど…それ以外の人はわからないよ。
あ、ネイサンさんやアルバートさんのご先祖様も来るかもしれないね。
アルバートさん…ショックを受けるだろうな…
可哀想だけど…これは、みんなが乗り越えないといけないことだから…
あれこれと考え過ぎたせいなのか、結局、その晩はなかなか寝付くことが出来なかった。
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