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「では、昼食でも食べよう。」

私達は、ネイサンさんに教えてもらったあの店に向かった。



「カンナ……
何か、あったのか?」

「え?」

食事に最中、突然、アルバートさんがそんなことを言うもんだから、私は思わずむせてしまった。



「大丈夫か?」

「は、はい、だ、大丈夫です。」

私は咳込みながら、何とか答えた。



「カンナ…もしや、私たちのやろうとしていることをネイサンから聞いたのか?」

「いえ…兄さんは何も言ってません。
ただ…僕が勝手に想像して…」

「どんなことを想像したんだ?」

言えない…そんなこと、とても言えないから、私はきつく口をつぐんだ。



「……そうか。
きっと、君の想像は当たっていると思うよ。」

その言葉に、思わず総毛立った。
あまりにもさらっと、アルバートさんが話したから。



「……幻滅したか?」

「ぼ、僕は……ただ、怖いのです。」

「……そうだな。
私だって、気は重い。
だが、このまま手をこまねいていたら…間違いなく、戦争が起きてしまう。
そうなれば、どれほどの命が失われてしまうか、わからないのだ。」

その言葉を聞いた時、私は確信した。
私の想像は、残念ながら当たっていたということに。
わかるよ…アルバートさんの苦しい立場は…
アルバートさんの言ってることはきっと正しい。
だけど…それでも、私はそのことを受け入れられない。
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