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「うん、似合う。
それも買っておこう。」

「え…そんな…
さっきのだけで…」

「いや、着替えは必要だろう。
あと、ネイサンのも何着か買っておこう。」



古着屋で、何着か服を買ってもらった。
正直言って、それは嬉しい。
ネイサンからもらった服しかなかったから、あれから洗濯も出来なくて、けっこうそれはストレスになってたから。



でも、本当なら女性の服が良かったんだけど…
男だって偽ってる以上、無理なことだけど…



買った服もアルバートさんが半分持ってくれた。
ちょっと意外。
王子様なら普通、そんなことはしないだろうに…
やっぱり、アルバートさんは優しい人だよね。
うん、変な想像はしない方が良い。
そう思いかけた時…



「カンナ…ナイフくらいは持っているのか?」

アルバートさんが見ていたのはちょっと先のお店。
剣の絵が描かれた看板が出ている。



「え…ぼ、僕はそういうものは……」

「モルドはファーリンドより治安が悪いと聞いたが、そうでもないのか?」

「さ、さぁ…僕は、記憶をなくしてますから…」

「そうだったな。
護身用のナイフでも買っておくか?」

「いえ……」

何もアルバートさんが悪いわけじゃない。
むしろ、アルバートさんは親切心から言ってくれてるんだ。
でも、それでもなんだか気分が良くなかった。
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