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最初はまだ戸惑いもあったけど、婚姻に向けてやることがいろいろあって…特に大変なのが、婚姻の儀の作法のことだった。
憶えることがいっぱいで、すごく大変。
その忙しさについていくだけで精一杯だったから、いつの間にか戸惑う気持ちもどこかへ行って…



「わぁ……」

大きな鏡の前で、私は思わず声を上げた。
だって…出来上がったのは、ものすごく素敵なドレスだったから…



「白というのも美しいものですね。」

「本当にお美しゅうございます。」

ドレスの色は私に決めさせてもらえた。
結婚式なんだからそりゃあ白でしょ!って思ったんだけど、この世界では白いドレスっていうのは、とても珍しいことらしい。
驚かれたけど、私の意見は尊重されて、真っ白なウェディングドレスが完成した。
全体的にレースがあしらわれ、キラキラしてるのはもしかして本物の宝石?
羽根も付いてて、なんともゴージャスなドレスだ。
花嫁さんっていうよりも、イメージとしては女神様…みたいな。



せめて、このドレスを着た姿だけでも、家族に見せたかったな…
そんなことを思ったら、ちょっと気分が沈むけど…元気出さなきゃ…!



あと数日で、私は結婚するんだから…
オルリアン国の王女様になるんだから…




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