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「どうしたんだ?もう食べないのか?」

「は、はい、ゆっくり食べてます。」

申し訳なさすぎて、アルバートさんの顔がまともに見られない。
すっかり気落ちして、宿に戻って来たら…



「アルビー!どこに行ってたのよ!」

部屋の前には護衛が立ち、部屋の中では、侍女に傅かれたシュリさんが待っていた。



「朝食を食べに行ってたんだ。」

「もうっ!そんなことなら、城に来てくれれば良かったじゃないの!」

シュリさんには、私の姿は全く見えてないみたいだ。



「食事なら町でも出来る。
そんなことでわざわざ手を煩わせることもないからな。」

「水臭いこと言わないで。
城なら、最高のものが食べられるわ。」

「最高でなくても良いんだ。」

「アルビー!」

シュリさんが、苛立って感情的な声を出した。



「シュリ、もう帰ってくれないか?
今日は、カンナの体調が良くないんだ。」

「あ…僕ならもう……」

「無理はするな。」

アルバートさんが目配せをするので、私はそれ以上何も言わなかった。



「じゃあ、城から医師を寄こすわ。
だったら、もう心配はないでしょう?
ねぇ、今日は湖の方まで行きましょうよ?
今は、きっとラドリアの花が盛りよ。」

「悪いが、シュリ…
今日は行けない。
さ、帰ってくれ。」

アルバートさんの態度は変わることがなく…
シュリさんもついには根負けして、帰って行った。
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