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「アルバートさん…良かったんですか?
僕なら、本当に大丈夫だったんですが…」

「あぁ、構わない。
彼女はどうも強引なところがあってな…
さ、発つぞ。」

「え……?」

「ここにいたら、毎日、彼女がやって来る。」

アルバートさんに言われるままに、私達は焦って宿を後にした。



アルバートさんとふたりで、街道を駆け抜けた。
なんだか、アルバートさんは楽しそう…
しばらく走ってから、ようやくアルバートさんは歩を緩めた。



「ここまで来たら、大丈夫だろう。」

アルバートさんは後ろを振り返りながら、そう言った。



「本当に良いんですか?」

「あぁ、問題ない。」

アルバートさん、楽しそう…子供みたいな顔して笑ってる。
でも、良いのかな?
私達が宿からいなくなったら、シュリさん…どうするのかな。
想像したら、私もちょっと楽しくなってしまった。



アルバートさん…シュリさんのこと、あんまり好きじゃなさそう。
そうじゃなきゃ、こんなことしないよね。
でも、お父さんに叱られたりはしないのかな?



「ここからはゆっくり行こう。
すまなかったな、無理をさせて。」

「いえ…僕は大丈夫です。」

頭痛もいつの間にか治ってたし、体調はなんともなかった。



(あ……)



考えてみれば、私よりもアルバートさんだよ。
昨夜はずいぶんお世話をかけてしまったみたいだし、もしかしたら寝てないのかもしれない。



「アルバートさんは大丈夫なんですか?」

「私なら大丈夫だ。」

そうだよね。
たとえ、大丈夫じゃなくとも、アルバートさんは大丈夫だっていう人だよね。
自分の事よりもいつも他人のことを考えて…



(本当に素敵な人……)

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