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「アルバートさん、酒場に行ってみませんか?」

「珍しいな。酒が飲みたいのか?」

「いえ…食堂で聞いたじゃないですか。
この国の王様が、酒場に現れることがあるって…」

「まさか、その王がネイサンだと思っているのか?」

「それはわかりませんが……」

そうだよね…可能性は低いよね。
でも、気になるんだ。
俯いた私の肩に、アルバートさんの手が触れた。



「……わかった。行ってみよう。」







私達は、町の酒場をのぞいて周った。
店内は酔客の笑い声や怒声で騒がしく、特に、これといって変わった様子はない。
つまり、王様は来てないってことだ。



何軒かの酒場を見て回ったけれど、やはりどこもいつもと同じような雰囲気だ。
さすがに王様も、そうしょっちゅうは来ないのかもしれない。



「残念だが、王様には会えそうにないな。
……せっかく出て来たんだ。
どこかで軽く飲んで行かないか?」

「……そうですね。
あ、それなら、あの店に行きませんか?」

私は、ジョシュアさんが聞き込みに行った店を選んだ。
隣のテーブルの人の話によれば、王様はあの店に来たみたいだから。



「国王陛下、ばんざーい!」



店の前についた時、大勢の合わせた声が耳に入って来た。
やった!ついに見つけた!この店に王様がいる…!
私は、興奮しながら酒場の扉を押し開けた。
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