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しばらくすると、ジョシュアさんが戻って来た。



「……どうだった?」

「関係ないとは思うんですが…
ルーランの国王に就いたのが、ネイサンという名前の者で、年齢や背格好もネイサンと良く似てるみたいです。」

「ジョシュア…いくらなんでも、それは違うだろう。」

オスカーさんが、そう言って苦笑いを浮かべた。



「明日は、町でネイサンの家を探してみよう。
それで手がかりがなかったら、また出直しだな。
とりあえず、何か食べに行こう。
皆、お腹がすいただろう?」

その時、私のお腹がぐぅと鳴って…
みんなには笑われたけど、ちょっと沈みがちだった雰囲気が、明るくなったから、ま、いっか。



私達は、宿の近くのレストランに向かった。
レストランというよりも、食堂って感じの飾らない店だ。



「あぁ、腹が減った。
だけど、一生懸命働いた後は気持ちが良いな。」

「そうだよな。きっとこれからこの国はもっと良い国になるぜ。
今までみたいに多額の税金を取られることもないだろうし、あの王様、まだ若いけどとても誠実そうな人だもんな。」

ふと、隣のテーブルの人達の話し声が、耳に入って来た。



「だよなぁ…普通、町まで来て、民の声を直接聞く王様なんているか?
あのお方はきっと良い王様になる!」

「そういえば、先日は、酒場に来て、民と一緒に飲んだらしいぜ。
俺もいつか会ってみたいな。」

ジョシュアさんが小さく頷く。
そっか、ジョシュアさんが酒場で聞いたのは、多分、その話だったんだね。
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