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(あ……)
雑草の茂みから出て来たのは、西洋人風の若い男性。
その人も私を見て驚いたような顔をしていた。
「は、ハロー!」
こんな見た目だけど、私は英語はほとんど話せない。
でも、とりあえず、ここはハローでしょう。
愛想笑いも付け足して。
「……君は誰だ?」
(え……)
「あ、私はカンナ…香田こうだカンナです。」
男性は疎まし気な顔で私をみつめ…
何も言わずにお城の方へ歩いて行った。
「え……ま、待って!」
私がそう言うと、男性は振り向かないまま、ただぴたりと足を止めて…
「……何か私に用でもあるのか?」
「え?用ってわけではないですが…
そ、その…私……」
なんて言えば良いのかわからなくて口籠ってたら、お腹の虫が大きく鳴いて…
「……腹が減ってるということか。」
「えっと…まぁ、それはそうなんですけど…」
男性は、しばらく黙ってたけど…
「……付いて来い。」
「え?あ、はいっ!」
私は言われるままに、歩き始めた男性の後を付いて行った。
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