20

しおり一覧
それに、ネイサンさんの服装は、現代の服装とは少し違う。
ブラウスみたいなものの上に革のベストを着て、長いブーツを履き、腰には剣らしきものを携えて…
最初は田舎の人かと思ったけど、やっぱりどこか違う。
強いて言うなら、年代的に今より昔の雰囲気だ。



そういえば、電気がないことにもネイサンさんは全然戸惑ってなかった。
ランプを当たり前のように使っていたよ。



(どうしてだろう?)



なにかがおかしい…
私はなんとも言えない薄気味の悪さを感じた。



「君は、住んでいた場所のことも全く覚えてないのか?」

「え?は、はい。
残念ながら何も…」

「オルリアンの国のこともまるで思い出せないか?
国王の名前さえも?」

「……はい。」

「そうか、余程強い薬でも飲まされたのかもしれないな。
しかし、体調がなんともないだけでも良かった。」

「はい、そうですね…」

ネイサンさんは良い人みたいだ。
そんな人と知り合えたのは良かったけれど、ネイサンさんの話を聞けば聞くほど、なんだかどんどん混乱の度合いが深くなる。



(ここは一体どういう世界で、私は、今、どうなってるの!?)



私は心の中の不安が大きく広がっていくのを感じた。
しおりを挟む - 45 -
小説TOP
ページ:
comment 0