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「サンドラさん、お願いします。
私達にその術をお授け下さい。」
ユリウスが殊勝な顔でサンドラに頭を下げる。
アレクシスのことになると、本当に必死だな、こいつ…
「幸い、この近くを飛び去った時に、あやつが落とした羽がある。」
婆さんは、そう言って、ポケットから一枚の白い羽を取り出した。
「これを使い、あいつの行方を探すコンパスを作ってやろう。」
「本当ですか!?」
ユリウスが興奮したように身を乗り出す。
「あぁ、本当じゃ。」
「ありがとうございます!」
「ただし…わしも慈善事業でやってるわけではないのでな…
それ相応の報酬はいただく…」
そう言った時、婆さんの瞳があやしく光った。
何か悪い予感がする…
報酬って…一体、何をほしがるつもりなんだ!?
「な、なにを差し上げれば…」
俺がそう言うと、婆さんは愉快そうに肩を揺らせた。
「おぬし……エルフじゃな。」
婆さんの目は俺を素通りして、ユリウスを見ていた。
ユリウスは言い当てられて、ぎょっとした顔をしていた。
さすがとしか言いようがないが、なんでわかったんだろう?
「そう…ですが……それが何か?」
ユリウスは、小さな声でそう呟いた。
「おぬしの精気を分けてもらえるなら、フクロウを探す魔法のコンパスを作ってやろう。」
「精気を…!?」
どういうことなんだ!?
精気って…具体的に何なんだろう?
そもそも、どうやって精気を吸い取るんだ?
俺の頭の中は、素朴な疑問でいっぱいになっていた。
「それを差し上げたら、私は死ぬということですか?」
「馬鹿な…いくらなんでもそこまでは取らん。
何、ほんの少しで良いんじゃ。
おぬしの身体には特にこれといった障りはなかろう。
あったとしても、ほんの一時的なもんじゃ。すぐに元通りになる。」
「……それは本当ですか?」
「もちろんじゃ。」
ユリウスは、じっと何かを考えていた。
俺にはよくわからないが、奴はさっき死ぬとか何とか言っていた。
多分、それは人間の血液みたいに吸い取りすぎたら死んでしまうことだってあるってことなんだろうな。
確かに、魔法のコンパスとやらはほしいけど、そんな危険なことだとしたら…魔女を信じて大丈夫なのか?
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