花子


プロローグ


林檎が木から外れて、そのまま落ちていくように、それを偉人さまが重力と名付けてしまったように、おれたちも、そうなるもんだったのだと、笑うしかなかったのだ。
出会わなくて済むなら、そっちのほうがずっとよかったって、おれだって、おれだって、そう思うよ。でも、そうじゃなかったって、そういうことなんだろうな。

笑った顔も、怒った顔も、泣いた顔も、寂しそうな顔も。喜怒哀楽にまみれて揺れるその顔を、いつでも思い出せる。
おはようと笑う笑顔と、おやすみと別れを惜しむ顔も、
おまえが、ねむってしまったときの顔も、
ぜんぶ、ぜんぶ、そのまんまなんだもんな。

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