夏秋合宿

夏組と秋組の合同合宿がはじまったのはいい、それはお互い切磋琢磨して成長に繋がるものだからいい、いいんだよ別に。そうじゃねーよ。


「なんで無人島なんだよ!!!」
「わっ!!なんだよ万里さん?!!」


着いてから教えられても意味ねえだろ!もう電波ねえからなまえに連絡もできねえ!!大問題だ!あの時無理矢理にでもなまえを荷物の中に押し込んで連れてくるべきだった、左京さんがなまえに「監督も行くからあとのことはみょうじに任す」ってなまえを寮に勝手に残す決断くだしやがって、!残ってる春冬のやつらにエロ同人のごとく乱暴されたら左京さんのせいだからな!


「心配しなくてもなまえさんなら大丈夫だろ、」
「ふざけんな、絶対至さんか東さんが先陣切って手出してるに違いねえ」
「ないだろ・・・」
「なあ、天馬」
「なんだ?」
「こっから船乗ったとこまでどんくらいで行けっかな・・・」
「泳ぐつもりか!?やめろ!!」


離せ!!!寮でなまえが俺を待ってるんだよ!「助けて万里くん!」って声が俺の頭の中にこだまして離れねえ!クソッッッ至さんと東さんなんかになまえは指一本触れさせねえ!!ポケットに入っているスマホを取り出して何回もなまえにかけているけれど一向に繋がる気配がない。も、もしかしてもう厭らしい事されてんじゃ、!いま夏秋の部屋が空いてるからってそこに押し込まれてあんな事やこんな事、


「ブッッッコロス」
「しかもなんで至さんと東さんなんだよ」
「千景さんも怪しいからな!

ハッ、まっ、待てもしかして103号室で厭らしい事されて、」
「ちょっと落ち着けよ、」


◇◇◆



寮に夏秋がいないこともあるのかだいぶ静かな空間と化している、いや万里がいないから余計か。あいつがいるとなまえちゃんの側をうろちょろしてくそうるさいもんな。ま、たしかになまえちゃんに構いたくなる気も分からなくもないほっとけない妹気質というか何というか、ま、みんなの妹だよなあ。


「あれ、なまえちゃん寝てる?」
「うん、ぐっすり」
「万里がいないからゆっくり寝れるね」
「あはは、万里くんはなまえちゃんが大好きだからね、」


談話室の一番陽のあたりがいい場所で猫のように丸まって寝てるなまえちゃんを見つけた。側にいた紬も彼女を可愛がってる一人で今も寝顔を見てほのぼのしてたとか。いやぁ、マジで万里が近くにいないだけでこんなに癒されるとは、こんな日がいつも続けばいいのに夏秋帰ってくるなよもう万里だけ置いてこいどっかに。


「密くん?」
「え?」


ふら、っとどこからかやってきた密がなまえちゃんを見つけると同じ場所に寝転んで爆睡しはじめた、猫だなふたりは。すりすりと彼女の方に寄って行ってるのは寝てる彼女の体温がいつもより高いからぽかぽかしてて気持ちがいいんだろうな、万里が見たら発狂しそうだからとりあえず写真だけ撮ってやった


「ただいま」
「おかえりなさい千景さん」
「おかえり〜〜」
「あぁ、なまえちゃん寝てるのか
うるさい万里がいないからと思ってお土産買ってきたんだけどな」
「先輩俺には?かわいい後輩には?」
「かわいい後輩は俺にはいないな」


そんな爽やかに微笑まなくても。不貞腐れてる間に千景さんは寝てる彼女の側にしゃがんで頬を撫でた。本当、普段万里がどれだけなまえちゃんのセコムしてるか分かる、頬を触るなんてこと出来ないもんな「なまえに指一本触れんじゃねえ!!」ガルルルッ、ってすごい威嚇してくるし。その事に関してなまえちゃん何も言わないし、呆れてるだけだと思うけどね


「ん、ちかちゃん、?」
「おはようなまえちゃん、お土産あるよ」
「んぅ、」
「はは、かわいいな」


あの先輩がここまで人に興味を持つのは珍しい、なまえちゃんパワー恐るべし。でも性格は変わらないから寝ぼけてる彼女の頬伸ばしたりむにむにしたり楽しんでる意地悪だなこの人


「万里くん、帰ってきた?」
「万里はあと二回寝たら帰ってくるかな」
「本当?じゃあ、」
「違う、夜寝たらね今じゃない」


大ボケをかますなまえちゃんに思わず紬と目を見合わせて笑った。何だかんだ言ってなまえちゃんも万里大好きなんだなあ、寂しいんだな彼女も万里には言わないだろうし俺もあいつには教えてやーらないっ


◇◇◆



「なまえ!!!!!」


無人島を出て帰れると思いきや普通の旅館にも泊まり、俺は帰る!と言ったのに泊まらされ電波を確保してすぐなまえに連絡入れるも返ってこず。やっと寮に戻り、いま、感動の再会を果たした


「ごめんな一人にして、寂しかったろ俺も寂しかった」
「おみやげ、」
「ある、あるけど今はギュー、な?」
「苦しい・・・」
「春冬のやつらに乱暴されなかったか?103号室で厭らしい事されてないか?ってか入ってないよな?俺がいないのに他のやつの部屋入ってないよな?まあ俺が恋しくなって俺のベッドで寝たとかならいいけど他のやつのはダメだかんな?聞いてる?」
「自分の部屋で寝た」


俺の部屋じゃないのか、まあいい。さっきから突き刺さる春冬の視線なんか気にしねえ。いまはなまえ補給の時間、ずっとなまえと一緒にいたお前らに俺の気持ちなんか分かんねえだろ、分かられてたまるもんか。出来なかった分なまえの顔中にキスした、くすぐったいのか身動ぐなまえを逃がさないように抱きしめる腕に力を入れたら大人しくなった、俺のシャツをぎゅっと握っている手が愛おしい、そう、そうして俺を受け止めてくれ


「なっ、何やってんだよ!!」
「ギャーーー!!なまえさんが万里に汚される!」
「邪魔すんなあっち行けクソガキ共」
「ハア、摂津お前そういうのは部屋でやれ」
「信じらんねえ!部屋でもやるな!なまえさんが可哀想だろ!!」
「んだよ莇、童貞かよ」
「なっ!?!!」


わなわなと震える莇と九門を嘲笑うかのような目で見てたら思いっきり左京さんに頭を殴られた。気づけばなまえから引き離されてるし、各々買ってきたなまえへのお土産俺の許可なしに渡してるし!ふざけんな俺を通せ!変なもの入ってたらどうすんだよ食べ物系は俺が毒味したあとだかんな!


「万里がいない間なまえちゃん堪能させてもらったから、とりあえずありがとう」
「なっ、!どういう意味だよ!!?」
「可愛かったな・・・
じゃ、俺明日も早いからおやすみ」
「おい!待て!!なにが、
千景さん!!!!!?!!」

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