ぴよぴよ亭ファイナルッ!


1


暗い夜は明ける事はなく










藤丸組の若頭は狂犬を飼っている。赤い毛並みの逞しくも美しい狂犬。藤丸組以外のものが若頭に手を伸ばせば、途端に噛み付く。
そうだからか、いつも赤い狂犬は枷をつけられていた。口枷と首輪を。濃い青の首輪の先端からは鎖がだらりと垂れていて、それを藤丸組の若頭が握っている。
いつも赤い狂犬は年若い若頭の傍にいた。藤丸組の青年と呼ぶのが相応しい程に若い男なのだが、狂犬はその傍にずっといる。
藤丸組の若頭の名前は藤丸立香。藤丸組を背負う若き正当な後継者だ。
赤い狂犬の名は原田左之助。何処ぞで藤丸が拾った犬らしく、いつからか、藤丸の傍にいる。
まだ幼さの残る藤丸に手が伸ばされる度に狂犬は吠えながら噛みついた。長く赤い美しい髪を振り乱し、容赦なく襲いかかってくるのである。
悪意ある手なら自衛が認められるが、傍から見れば分からないからか、赤い狂犬は藤丸に伸ばされる全ての手に吠えながら噛みついた。その為に枷をつけられたらしい。
無駄吠えする狂犬を止めるのは藤丸であった。悪意あるものではないか否か。それを判断するのは藤丸であり、伸ばされた手が悪意あるものでは無いと判断される度に
「待て」
力づくに強引に鎖を引っ張り、藤丸は狂犬を止める。少し高めの青年らしい声。その声を聞いた途端、狂犬はぴたりと止まる。赤い髪の下にある漆黒の瞳はぎらぎらと敵意と殺意を滲ませながら。そんな狂犬を藤丸は鎖を使って引き寄せる。
「まぁて」
「…っす」
甘ささえ含んだ藤丸の高めの静止の声が狂犬の耳元から注がれる。それをされた途端、狂犬は今までの殺気を嘘のように引っ込め、静かに藤丸の後ろに戻った。自分の言う通りに大人しく戻る狂犬に藤丸は、その美しい赤髪に手を伸ばし、
「良い子」
と褒めながら、頭を撫でる。それをされる度に狂犬は長い赤髪のしたにある切れ長の黒い瞳をうっそりと細め、無表情に笑った。表面上は本当に無表情だが、見るものが見ればある筈のない尾をぶんぶん振り回して喜んでいるのが分かる。そんな狂犬に藤丸も青い瞳を細めて唇の端を歪めて笑みを浮かべるのだ。
体躯の良い見目の良い男と若く、細身の若い男のやりとりは、何処か異様な色気を漂わせていた。周りにいる若い衆はその光景を見る度に言いようのない欲を感じ、ごくりと喉を鳴らす。
あぁ、何て羨ましい。自分もあんなに愛らしく、また淫靡な青年に躾けられたい!彼の犬になりたい!!
あの赤い狂犬が羨ましい!
その思いは皆、同じだった。
それを冷ややかに見るのは欲を抑えられるもの達。あんなにもあからさまな色気にやられるとは。あんな無知な若造に手玉に取られるなんて、情けない。その幼さと無知さを手玉にとり、赤い狂犬ごと手籠にすれば、まだ良いものを。
込み上げる何とも言えない欲を抑えながら、冷ややかに言った。
所詮は真っ当に日の元を歩けない、ろくでなしども。同じ穴の卑しき獣達。表面上は取り繕えても、考える事は一緒であった。
今日も今日とて欲望渦巻く集まりをして悪どい企みが成功するように話し合いがされる。悪辣な集会を終えた藤丸は狂犬と共に黒塗りの高級車に乗って帰った。
組に帰ってくると組員達が頭を下げながら、若頭の藤丸を出迎える。藤丸はそれに笑顔を浮かべて応えながら、歩いて行った。その後を狂犬も黙々と追う。
大きな屋敷の立派な木製の廊下の先。自分の部屋に入った藤丸は狂犬が入るのを確認すると、扉を閉めた。入り口の傍で大人しく待つ狂犬に近づくと口に嵌めていた口枷を外す。その途端に赤い狂犬は己の主人に襲いかかった。
藤丸の体を壁に叩きつけるように追い込むと噛み付くように口付ける。無遠慮に口の隙間から舌を捩じ込んで口内に侵入し、乱暴に口の中を蹂躙する。厚い舌で意外にも可愛らしい舌を絡め取って舐めまわし、吸い尽くす。それが苦しいのか、逃げようとする藤丸。それを見た狂犬は、その荒々しさからは想像できない器用さで自身の体と壁で藤丸が逃げられないように押さえつけた。片腕を肘で曲げて壁につけ、もう片方の腕を肩の後ろに回して抱き締め。
これでもかと藤丸の口内を犯す。
「は…ぁ…」
あまりにも無遠慮な侵略行為が苦しいのか、藤丸は青い瞳の眦から涙を溢し、微かにある口の隙間から声を漏らした。苦しそうに、だが艶やかに。それに興奮したのか、狂犬は肩に回していた手を腰にまで落とし、グッと体を近づける。全身で押さえ込みながら、主人の体に擦りつけるように自身の股間を押し付けてきた。
下半身から伝わる、あまりの熱さに藤丸は体を震わせた。反射的に逃げようと体を捩る。その様を見た狂犬は更に強く主人の体に自身の逞しい体を押し付け、その熱を伝えた。
鼻息荒く伝わる狂犬からの荒々しい熱に藤丸の体も熱くなる。
「ぁ…は…」
藤丸の口から苦しそうながらも甘い吐息が聞こえると漸く狂犬は口付けをやめた。体を更に密着させると藤丸の耳元に口を寄せる。
「立香さん。俺、あんたの望み通り、待てをしましたよ」
ぐりぐりと体を押し付けながら、熱い呼吸と共に狂犬は囁く。
「良い子の俺に、御褒美をくれますよね?」
「あ…ぅ…」
股間から這い上がる暴力的な快感と耳から注がれる低く掠れた欲を滲ませた色気のある声を鼓膜から注がれた藤丸は呻きながらも確かに首を縦に振った。そんな藤丸に狂犬は唇を歪めて笑みを浮かべると、もう一度愛しい主人に口付けたのだった。
「ぅ…あ…」
甘い吐息と共に呻くと、藤丸は体を震わせながら、精を放った。吐き出された白く濁った液体は自身の体を洗うお湯と共に流れていく。浴室用の畳の上で体を押さえ込まれながら、体を洗われる主人を見て狂犬…原田は唇に歪んだ笑みを浮かべた。
「まだ洗いきってないっすよ、立香さん」
「も…ゃ…」
「綺麗にしないと嫌がるのは他ならぬ、あんた自身じゃないっすか」
「あ…!」
のたうちまわりながら逃げようとする藤丸にそう言うと、原田は彼の体の中に入れていた指を回した。ぐり、と内部の膨らんだ弱い所を刺激され、藤丸の雄はまた首をもたげる。そんな藤丸に笑みを溢しながら、原田は指で開いた彼の孔にシャワーノズルを近づけ、体の中を洗った。シャワーノズルから勢い良く出るお湯が直接藤丸の体の中に注がれる。指で体の中を掻き回してお湯で中を洗われる度に藤丸はびくびくと体を震わせた。まるで陸に打ち上げられた魚のように自分の体の下でのたうち回る藤丸を原田は恍惚とした表情で見下ろす。
「随分と気持ち良さそうっすね。もっとしたくなっちまう。これだから、あんたの体を洗うのはやめられない」
「ゃ…だ…!」
「下の口で指を食い千切らんばかりに締め付け、そんなにも蕩けながら言っても説得力はないっすよ」
「ふぁ…!」
嫌々と首を振りながら拒絶を示す藤丸を見た原田は体の中に入れた指で中のしこりをこれでもかと押し潰した。その刺激に背を反らせ、藤丸はまたしても無様に精を放つ。そんな藤丸をじっとりとした黒い瞳で見下ろしながら、原田は体の中のしこりを指で挟み、これでもかといじめた。それをする度に藤丸は甘い声をあげながら、のたうち回り、終いには精を放つ。放つ度に濃度と色が薄くなっていく白い液体はシャワーから出るお湯に流されていった。
「もっと俺の体の下で気持ち良さそうに喘ぐあんたも見たいんすが…あんまり虐め過ぎるとあんたの身がもたなくなるんで、ここまでにします」
「ぁん…」
そう言いながら原田が中から指を抜くと、藤丸は一際甘く鳴いた。何度か絶頂に追い上げられた体は赤く染まり、先程まで指を咥えていた孔はひくりひくりと収縮を繰り返して蠢いている。シャワーのお湯の効果もあり、艶やかで美味そうだ。壮絶な色気を撒き散らす藤丸に知らず知らず原田の喉がごくりと鳴る。だが、それを何とか耐えると原田は藤丸の体を優しく抱え上げた。丁寧に横抱きで運びながら、器用にも足で浴室の扉を横にスライドして開く。脱衣所へと上がると用意されたタオルの山に藤丸の体を下ろした。その中からバスタオルを一枚手に取り、彼の体を拭いていく。その間、バスタオル越しに藤丸の体に悪戯するのを忘れない。
原田に悪戯される度に藤丸が甘い声を漏らして体を震わせる。その様に更に熱を昂らせながらも、原田は藤丸の体を綺麗にしていった。自身もバスタオルで簡単に体を拭くと再び藤丸の体を横抱きし、寝室に向かう。
寝室の高そうなベッドに藤丸の体を横たえると、原田は藤丸に覆い被さった。裸でのしかかってくる原田の昂った雄を見た藤丸は恍惚としながらも唇の端を歪めて笑う。
「もうこんなにしてる」
「外で色っぽいあんたを見た後に風呂場でも、あんたの可愛い姿を見たから、こうなるのは当たり前っすよ」
「君のそういう所、可愛いよね」
「こんな俺と俺のちんこを見て、可愛いって言うのはあんたくらいですよ。立香さん。大概のやつは悲鳴をあげますからね」
藤丸が昂りから血管が浮き上がるそれに指を這わせてながら言うと、原田は熱い吐息を漏らしながらも平然と答えた。そんな原田に藤丸は更に笑みを深める。
普通のものが見たら、悲鳴を上げそうな程に立派で凶悪な原田の逸物。しかし、そんな原田の雄を見ても藤丸は物怖じするどころか、楽しそうに嬉しそうに笑うだけだ。そんな藤丸に原田も目を細めて笑う。
藤丸は身を屈めると彼の股間に顔を寄せた。凶悪な程に勃起するそれを口の中に招く。若いからか、元気過ぎるほどに元気なそれは藤丸に火傷しそうな程の熱と濃い苦みを伝えてきた。鼻からも濃い雄の匂いを堪能しながら、藤丸は口の中で原田の若くて立派な雄を可愛がる。硬く膨らんだ先端を舐め回しながら、手で根本を擽るように擦ると、とろりと苦くて濃い淫液が溢れた。それを舌で掬いとった藤丸はそれを硬く膨らんだ先端を中心に原田の雄に塗り込めるように舌で舐め回す。時々、戯れるように括れにも舌を這わせ、口を窄めて精を絞り取るように吸いつく。顔ごと前後に揺らしながら、原田の精を飲み尽くそうとする。
そんな藤丸の様子を見ていた原田は乱暴な手つきで黒髪を掴むと喉元を犯すように腰を振った。上顎を擦り、舌を擦り、喉奥まで蹂躙してくる。そうする度に藤丸の喉奥はきゅう、と締まり、原田を締め付けて歓迎した。
口内を突き上げられる度に肉棒は火傷しそうな熱と言いようのない苦みを伝えてくる。それに応えるように藤丸の口内と喉は淫らに収縮し、原田の若い雄を可愛がった。舌を這わせて淫液を舐め取り、喉奥から胎の中へと落としていく。淫らな熱が腹の奥に落ちる度に体を震わせ、口の中に招いた原田を甘く優しくも激しく締め付ける。
藤丸の体の中の淫らな蠢きに原田も我慢の限界を迎えた。
「くっ…!」
「ぁん…」
低い呻き声と共に藤丸の口内に粘り気のある苦みが広がった。激しい勢いと共に吐き出されたそれは口内や体内だけにとどまらず、藤丸の幼く見える顔も汚す。口内に広がる濃度の濃い苦みと淫らな雄の匂いに藤丸は恍惚とした笑みを浮かべながら、甘く鳴いた。
「ぁ…すご…さの君の精液…どぴゅどぴゅ出てる…」
うっとりとしながら呟かれた声に原田のそれはまた激しくそそりたった。肉棒全体から若く濃い雄の匂いが撒き散らされる。それに更に藤丸は惚けた。自分の雄に淫らに発情する藤丸を見た原田は唇の端を歪めて笑う。
「あんたの口の中も悪くないっすけど、俺はこっちの方が良いです」
「ぁ…」
そう言うと強引にも藤丸の口の中から雄を引き抜いた。それに藤丸は寂しそうな声をあげる。そんな藤丸を見た原田は嬉しそうに笑いながら、藤丸の体を押し倒した。その若く、しなやかな体に覆い被さると、程よく鍛えられた美しい足を開く。
自身の前で曝け出される、みっともなく項垂れた雄と淫らな孔。もはや雄としては役に立たないそれと、ひくりひくりと物欲しそうに蠢く孔はまるで雌のそれのようだ。
健気に淫らに収縮する孔を擽るように指で撫でると、藤丸は体を震わせながら、甘く鳴いた。青い瞳を甘く蕩けさせながら、すがるように原田を見る。視線だけで強請ってくる藤丸に原田は満足そうに笑みを浮かべた。
「あんたの言う事を聞いた良い子の俺に、あんたというご褒美を下さい」
「あぁっ!」
言うや否や、原田は自身の雄を藤丸の孔に押し入れた。そそり勃つ雄で藤丸の中を荒々しく侵略していく。その様は正に発情した雄犬だ。がつがつと腰をぶつけるように動かし、藤丸の中を犯していく。激しい蹂躙に藤丸は身悶えた。
外では妖艶に微笑み、原田の口と首に枷をつけて手玉にとって躾けていた藤丸は今、その原田に躾をされていた。無様にも足を開き、原田の下で身悶えながら、甘く喘いでいる。何なら、広げた足を原田の腰に絡ませ、強請ってさえいた。
主人が自分の雌に堕ちた様を見て、原田は唇を歪めて笑う。
「可愛い…!可愛いっすよ、立香さん…!!お望み通り、俺のちんこで犯しまくって、俺の雌にあげますからね…!」
「やだぁ…!」
唸るように叫ぶと、原田は激しく奥を突き上げ始めた。自身の昂った雄で何度も藤丸の体を貫く。閉じられた奥まで強引に開かせようとしてくる原田に藤丸は嫌々と左右に首を振りながら叫んだ。小刻みに身体を振るわせながら体をくねらせ、雌のように甘い悲鳴をあげる。その癖、男にしては細い両腕で抱きつき、腰に絡ませた足に力を入れるから、原田は堪らない。愛しい雌を滅茶苦茶にしてやるとばかりに自身の雄で藤丸の中を何度も穿つ。
そんな原田の雄を歓迎するように藤丸の中はきゅうきゅうと締め付けを繰り返した。奥を突く度に原田の雄を歓迎するようにきゅうんと締め付ける。そんな淫らな藤丸が原田は可愛くて愛しくて仕方ない。藤丸の足を抱えこんで押さえつけながら、何度も奥に腰を打ちつける。
すると、藤丸は更に強く手と足に力を込めて原田に抱き付いた。自分の雄に翻弄されながらも必死に甘えてくる藤丸に原田は更に昂る。体を押し付けるように押し倒すと唇を重ねた。隙間から舌を差し込み、藤丸の舌を絡め取ると奪うように吸い尽くす。
また、きゅうと藤丸の中が甘えるように締まった。喜びを伝えるように自身を歓迎する藤丸に原田は更に歓喜し、奥を激しく穿つ。
がつがつと獣のように貪る。
「も…やだぁ…っ!」
一際甘く鳴くと藤丸は原田に力強く抱きつきながら、自身の雄から精を放った。一際強く甘えるように締め付けてくる中に促されるように原田も藤丸の中に精と愛を放つ。自分の腕の中で果てた藤丸にご褒美と言わんばかりに優しく触れるだけの口付けを落とすと、原田は動きを穏やかにした。藤丸の中に自分の精を塗り込むようにゆっくりと犯していく。
「やだぁ…中に擦りつけないでぇ…俺の中に、さのくんのせぇえきが染み付いちゃうよぉ…」
「はっ…わざと染み付くように塗りたくってんすよ。あんたは俺のなんで…ね!」
蕩けながらも首を左右に振って呟く藤丸。そんな藤丸の腰を掴むと、原田は一際奥を突いた。そこから、また乱暴に容赦なくがつがつ奥を犯してくる。休みは終わりだと言わんばかりにこれでもかと激しく犯してくる原田に藤丸は鳴いた。
「やだぁ…!つよつよおちんぽで奥を苛めないでぇ…!!」
「嘘は駄目ですよ、立香さん。あんた、こうされるの、好きじゃないすか。ほら」
「あ…!」
自身の腕の中で善がり鳴きながら嫌々と首を振る藤丸を見た原田は藤丸の膝裏を抱えると体を折り曲げるように藤丸に覆い被さり、最奥まで自身を収めた。最奥まで犯すと固く閉ざされた奥をこねくり回す。浅い所の弱い所も押されながら中を擦るように奥をこねくり回され、藤丸は絶えず襲いくる快感に鳴くしかない。あまりにも強烈な快感にまた嫌々と首を振る。
しかし、その青い瞳はとろりと甘く蕩けながら、自分を犯す原田をじっと見つめていた。うるうると瞳を潤ませながらも、強請るように原田を甘く見つめている。
藤丸の胎の中が疼いている。ひくりひくりと疼く度に胎の中はきゅんきゅんと鳴き、中にいる原田に強請るように甘えるように締め付けを繰り返す。言葉とは裏腹に自分に甘えに甘えてくる藤丸に原田は笑みを溢した。何だかんだ言いながらも自分を求め、甘えてくる藤丸が可愛くて仕方ない。微かに笑みを浮かべながら、原田は固く閉ざされた最奥の入り口を開かせるべく、攻略を続ける。
「相変わらず、ここは慎ましいっすね。この間もこじ開けて散々可愛がったっていうのに、今日も頑なに閉ざしてる」
「あ…ぅ…!」
「まぁ、だからこそ、俺だけは許してくれると分かって嬉しいんすけどね」
あんたの唯一無二の特別という証だから、と嬉しそうに呟きながら、原田は固く閉じられた最奥を犯し続ける。これでもかと奥を突き、こねくり回す。
その甲斐あってか、漸く藤丸の最奥が開けてきた。最奥の口が緩んだと分かった原田は即座に隙間に先端を当てる。
「あんたに全部あげるんで、しっかり飲み干せよ、立香」
「ふぁ…っ!」
そう言うや否や、原田は藤丸の奥に精を放った。中の奥深くに熱を注がれた藤丸は短く悲鳴をあげるとびくびくと体を震わせる。そんな藤丸の体を押さえつけながら、原田は最後の一滴まで胎の奥に注いでいく。
「ふぁ…なか…なか、あつい…さのくんのこくて…あついよぉ…」
「胎の中に注ぐ度にびくついて…可愛いなぁ、立香…」
ふるふると体を小刻みに震わせながら、うっとりと呟く藤丸に、こちらも黒い瞳をじっとりと欲で濡らしながら、呟く。腰を掴んでいた手を離すと藤丸の頬を包み込むように挟み、褒めるように優しく口付ける。何度も唇を喰むように口付ける。その気持ち良さに藤丸がとろとろと蕩けながら、薄く口を開くと、原田はまたその隙間から舌を入れた。また分厚い舌で口内をくまなく犯し、舌同士も絡めて味わい尽くす。そんな原田に藤丸も目を細め、力が入らないなりに必死になって舌を動かして応えようとした。自分の口付けに必死に応えようとする藤丸に尚一層昂った原田は口付けをしながら、また腰を打ちつけ始める。とんとんと優しく奥を突くと口付けの隙間から、藤丸の甘く鳴く声が漏れた。
そんな藤丸を原田は欲情しきった黒い瞳で見下ろした。自身に感じ入りながら、体を震わして甘く鳴く藤丸をこれでもかと熱く優しく見つめる。愛しい、とこれでもかと思いを込め、穏やかに、かつ激しく見つめる。そんな原田に藤丸の胸は甘く疼いた。それに連動するように胎の中も疼き、もっと欲しいとばかりに中の原田をきゅうと締め付ける。
「…まだまだ足んねぇみてぇっすね。いいっすよ。俺もまだまだあんたが足りないんで。あんたが孕むまで抱きます」
一杯あげます、と呟くと原田は再び藤丸の腰を掴み、自身の腰を打ちつけ始めた。そんな原田に藤丸は惚けながらも心も体を開いて招き、何度も彼を抱き締め返した。深い口付けを何度も交わして舌で口内を弄り合い、繋がった部分で欲を放っては相手の欲を飲み込み。
二人の獣はお互いを求めて貪りあい、暗い夜に飲み込まれるように溺れていった。
「…ん」
深い眠りの底から現実の世界に浮上した藤丸は声を漏らした。まだ夜は明けないせいか、部屋の中は薄暗い。枕元の灯りだけが明るくて、それ以外は暗闇に染まっている。
「大丈夫ですか、立香さん」
藤丸がぼんやりと暗い天井を見上げていると、その視界に体躯の良い赤髪の男が割り込んできた。切れ長の黒い瞳で心配そうに藤丸を見ている。それを見た藤丸は目元を緩めて微かに笑いながら、口を開く。
「さのくん…」
「はい、あんたの犬の原田左之助ですよ」
藤丸が静かに名前を呼ぶと原田は傍目には無表情なまま、さらりと答えた。自身を慮るように優しく頬を撫でてくる原田に藤丸は更に目を細めて微笑む。
あぁ、やはり自分の恋人の狂犬は優しくて可愛い。
「まだ、ちょっとぼんやりしてますね。水を持ってきましたが、飲めますか?」
「ん…のむ…」
尋ねてくる原田に藤丸が微かに頷くと原田は藤丸の背に手を回して起こし、器用にも彼の体を支えながら口の開いているペットボトルを差し出した。藤丸が先端を微かに咥えるのを見ると、ペットボトルを傾ける。それを藤丸はこくりこくりと喉を鳴らしながら、飲んだ。冷蔵庫に入っていたからか、冷えている。水は水でもスポーツドリンクでもあったようで、微かに甘い。
「もう少し休みますか?まだ時間が早いからか、夜は明けてないんです」
「んー…」
原田の言葉に藤丸は青い瞳を細めながら、言う。
「夜が明けるまで、君が欲しい」
ぽつりと呟くように藤丸が言うと原田は切れ長の目を見開いた。長い赤髪の下から、光のない漆黒の瞳をこれでもかと開いて藤丸を見る。そんな原田に藤丸は笑みを浮かべながら、言う。
「俺の望みを叶えてくれるかな、俺のわんこ君?」
「勿論です」
無邪気ながらも妖艶に言われた言葉に原田は即座に頷いた。藤丸の肩に手を乗せると、とんと優しく押し倒す。
自身に覆い被さってくる体躯の良い赤髪の犬に藤丸は唇を歪めて笑うと、
「よし」
「わん」
藤丸の許しの一言に一吠えすると、原田は再び、年若く健やかだが艶やかな主人の体を貪り始めたのだった。
夜明けは遠く。暗い夜には月も星もなく。
その暗い夜空の下、二匹の獣は互いを貪るように交わった。

- 4 -

*前次#


ページ: