なまえ（手札 0/ LP:1000）
マリク（リシド）（手札 4/ LP:6500）
「私はさらに、《アスワンの亡霊》を召喚！」（手札4→3）
《アスワンの亡霊》（★3・闇・攻/ 500）
「攻撃力500……？」
いったい何を、と訝しむ顔に、リシドは直ぐにもう1枚のカードをスロットに差し込む。
「さらに装備魔法《
月鏡の盾》を発動。このカードを装備したモンスターが戦闘を行うダメージ計算時、相手モンスターの攻撃力、守備力のうち、高い方の数値＋100ポイントとなる」
「……ッ、それじゃあ」
「そうだ。《アスワンの亡霊》よ、《ブラック・マジシャン》に攻撃！！！」
《アスワンの亡霊》（攻/ 500→2600）
「───くぅッ」
なまえ（LP:1000→900）
呆気なく撃破されたブラック・マジシャンの破片の中で、なまえは髪を振り払う。
「そして《アスワンの亡霊》のモンスター効果発動。このモンスターが戦闘で相手ライフにダメージを与えたとき、デッキから
罠カード1枚を選んで手札に加える」（手札2→3）
「くっ…… リバースカードオープン！」
なまえの背後に大きな石板が現れる。そこにはあの記憶の石板に描かれたブラック・マジシャンが彫り刻まれていた。その光景が、無意識のうちに遊戯の心をも揺さぶる。
「……あれは、」
「永続
罠発動、《永遠の魂》！！！」
フィールドに《ブラック・マジシャン》が舞い戻った。同じようになまえの前に立ちはだかり、腕を組んでリシドを見下ろす。
「このカードがフィールドに存在する限り、1ターンに1度、手札か墓地の《ブラック・マジシャン》を特殊召喚する。さらにこのカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、自分のモンスターゾーンの《ブラック・マジシャン》は、相手のカード効果を受けない！」
「ならば私は手札を全て伏せる」（手札3→0）
「あなたのエンドフェイズ、私はさらに伏せていたリバースカードを使う！」
終わらない攻防に、リシドはなまえのプライドを見ていた。この状況で諦めない姿に、男も女も関係ない、デュエリストの姿を見る。
「速攻魔法《抹殺の指名者》、発動！ 自分のデッキからカード1枚を選択し、ゲームから除外する！ ターン終了まで、この効果で除外したカード名と元々のカード名が同じカードの効果は全て無効化される」
「なるほど、それで私のエンドフェイズに…… だがカードを除外して、どうしようと言うのだ」
「さぁ…… あなたのエンド宣言の後に分かるんじゃない？」
ふっと笑うなまえに、リシドも「いいだろう」と腕を上げる。
「これでターンを終了する」
「私のターン、ドロー！」（手札0→1）
引いたカードを一瞥してから、なまえはフィールドを見渡す。ブラック・マジシャンが1体と、永続
罠《永遠の魂》、伏せカードはあと2枚。
「（マリクのライフは6500。普通なら、1ターンで削り切るのは難しい。……それに、《アスワンの亡霊》の効果でわざわざデッキから選んだ
罠カードも気になる）」
相手の伏せカードは3枚。正直、対処しきれる自信もない。もしまた《ドレイン・シールド》のようなライフ回復のカウンターや、《封魔の呪印》のようなキーカードを封じられる
罠が出れば、……それこそ勝ち目はない。
「（でも、今まで出た強力な
罠は、殆どが手札コストのいる重いものだった。今ならマリクの手札はゼロ。───ここは挑むしかない！！！）」
意を決したらしいなまえに、リシドが構える。
「私は伏せていた
魔法カード《アルマの魔導書》を発動！ ゲームから除外されていた『魔導書と名のつく魔法カード』を手札に加える」（手札1→2）
「除外されていたカード…… なるほど、そのための《抹殺の指名者》か」
「そう、私がゲームから除外していたのは《ネクロの魔導書》！！！
私はこのカードを、墓地の魔法使い族モンスター1体を除外し発動！ 自分の墓地のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。そしてこの装備モンスターのレベルは、除外したモンスターの分だけ上がる。私は《魔導戦士フォルス》を除外し、《魔導召喚士テンペル》を特殊召喚！！！」（手札2→1）
《魔導召喚士テンペル》（★7・地・攻/ 1000）
「さらに《魔導召喚士テンペル》の効果発動！ 『魔導書と名のつく魔法カード』を発動したターン、このモンスターを生贄に、デッキからレベル5以上の闇、または光属性の魔法使い族モンスターを特殊召喚する！
現れろ───《魔導法士ジュノン》特殊召喚！！！」
「甘い！！！
罠発動、《呪言の鏡》！！！」
「……！？」
「この
罠は、相手がデッキからモンスターを特殊召喚したとき発動！ そのモンスターを破壊し、私はデッキからカードを1枚ドローする。《魔導法士ジュノン》を破壊！！！」
リシド（手札0→1）
「───ッ」
召喚早々に《ジュノン》を破壊された挙句、コストにもなる手札を増やされた。これには海馬も目を伏せ、遊戯の背後では舞や城之内達も戦々恐々とする。
「なまえのデュエルタクティクスをもってしても、マリクは神のカードを呼ぶ事さえしない……」
遊戯の呟きに、城之内も「強えぇ……」としか返せなかった。
「（デッキの力量、タクティクス、戦況の把握、どれをとってもなまえは間違いなくオレや遊戯と並んでいた。だがヤツは、それをも遥かに上回ると言うのか）」
組んでいた腕の中で、海馬が軋むほど手を握る。
「───まだよ！！！ 手札から装備魔法《戦線復活の代償》を発動！（手札1→0）
フィールドの通常モンスター1体を墓地へ送り、墓地にいるモンスター1体を特殊召喚し、このカードを装備する！！！ ……ただし、このカードが破壊されたとき、特殊召喚されたモンスターは破壊される。
私は《ブラック・マジシャン》を墓地へ送る！ 復活しなさい、《魔導法士ジュノン》！！！」
《魔導法士ジュノン》（★7・光・攻/ 2500）
「さらに永続
罠《永遠の魂》の効果発動！！！ 自分の墓地から《ブラック・マジシャン》を特殊召喚する！ 蘇れ、我が永遠の
僕！！！」
《ブラック・マジシャン》（★7・闇・攻/ 2500）
「うまい！」
たった1枚の手札で形成を取り戻したなまえに、遊戯が顔を明るくする。だが圧倒されっぱなしの城之内は「アイツ、すげぇ……」としか返せない。
「《魔導法士ジュノン》のモンスター効果発動！！！ 墓地から《ネクロの魔導書》を除外し、相手フィールド上のカードを破壊する！
私は《アスワンの亡霊》を破壊！！！」
モンスター破壊の衝撃をリシドが手で遮る。
「そして《アスワンの亡霊》が破壊されたことで、装備魔法《月鏡の盾》は対象を失い、破壊される」
「くっ、」
《アスワンの亡霊》、そして《月鏡の盾》の2枚のカードを破壊され、やっとリシドも目を細めた。
「バトルフェイズ！！！ 《ブラック・マジシャン》の攻撃を宣言し、
罠カードを発動！」
「……！」
「
罠カード《マジシャンズ・サークル》、発動！
このカードは、魔法使い族の攻撃宣言時にのみ発動！ デッキから攻撃力2000以下のモンスターを特殊召喚する！」
「ならば
罠発動！！！ 《苦紋様の土偶》！！！ このカードは発動後、効果モンスターとなりモンスターゾーンに特殊召喚される。そしてこのカードは、
罠カードとしても扱う。
出でよ、
罠モンスター《苦紋様の土偶》！！！」
《苦紋様の土偶》（★7・地・守/2500）
「
罠モンスターだと？！」
「それも、ここで守備力2500……！」
初めて目にする特殊なカード、そしてそのモンスターの数値に誰もが戸惑った。遊戯と舞でさえ驚きを隠せない状況で、遊戯は同時にいざ対峙しているなまえの心境は如何程かとさえ案じる。
何より、《ブラック・マジシャン》、そして《魔導法士ジュノン》の攻撃力は共に2500。破壊どころか、守備表示では相打ちもできない。
「……私は、……私は諦めない！！！ 《マジシャンズ・サークル》の効果発動！ 私はデッキから、《魔導冥士ラモール》を特殊召喚！！！」
《魔導冥士ラモール》（★5・闇・攻/ 2000）
「私のデッキに魔法使い族のモンスターは居ない。よって私はその効果を使わない」
「ふ、好都合だわ。……《魔導冥士ラモール》のモンスター効果発動！ このモンスターが召喚・特殊召喚に成功したとき、墓地の魔導書の種類の数で効果を発動する。
私の墓地の魔導書は4種類！！！ よって、《ラモール》の攻撃力は600ポイントアップし、さらにデッキからカードを1枚ドローする！！！」（手札0→1）
「攻撃力2600……！」
「これでその
罠モンスターも倒せる……！！！
《魔導冥士ラモール》、《苦紋様の土偶》に攻撃！！！」
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