「銀幕のミラーウォールは、敵モンスターの攻撃力を半減させるトラップカード。貴方が攻撃宣言をすれば、鏡の壁が貴方のモンスターの前に立ち塞がるわ!そして…鏡の中の自分自身を攻撃する事によって、そのモンスターの攻撃力は半減する!」
「クッ!」
 (暗黒騎士ガイア 攻/1150)

「私のターン。ハーピィ・レディの装備カード…サイバー・ボンテージ!」
 有利に動く舞の自信に満ちた顔は不敵に微笑まれる。ハーピィは赤い髪を翻しスタッズの輝くボンテージをその身体に纏った。
「行くのよ!ハーピィ・レディ!スクラッチ・クラッシュ!!!」

 攻撃力が半減したガイアに成す術はなく、あっけなくその爪に屠られた。
「暗黒騎士ガイア、粉砕。」
「まさか…オレの主力カードが、やられただと…!」
 (遊戯 LP/1350)

「遊戯、こんな罠にかかるなんて…私は貴方をかいかぶりすぎていたようね。さぁ、貴方のターンよ!遊戯!」

「(遊戯…まさかとは思うけど、同じ攻撃をするんじゃないでしょうね。あのカードは…)」
 なまえは半分ほど呆れたような顔をして、デュエルリングを見下ろしていた。チラリとペガサスに目を向ければ、ペガサスも薄笑いで遊戯に視線を送っている。
 察せられる前にすぐ目を戻したところで、ペガサスもチラリとなまえを見たが、なまえはそれに気付かなかった。

 遊戯はカードを一枚伏せてから“デーモンの召喚”を場に出し、同じように攻撃を仕掛けた。
「力でねじ伏せてやるぜ!舞!デーモンの攻撃!ハーピィを蹴散らせ!魔降雷!」
「(…バカ!)」
 なまえは喉まで出かかった言葉を飲み込んで咄嗟に口を噤んだ。それとほぼ同時に、舞も一枚のカードを手にして遊戯に見せつける。

「攻撃を宣言したわね、遊戯…!トラップ再発動!」
「なに?!」
 (デーモンの召喚 攻/1250)

 デーモンもガイアと同じように攻撃力を落としてフィールドに立ち尽くすだけだった。
「さぁ、これでデーモンの攻撃力も半減したわ。」
「…!そうか、永続トラップ…!」
「その通り。フィールドのトラップ表示はまだ残っている。気付くのが一足遅かったわね、遊戯。」
「通常の罠カードは一度発動させたら力を失い、そのカードはフィールド上から取り除かれる。しかし例外もある!」

「そう。この銀幕のミラーウォールは、数百種とあるトラップカードの中でも、最もレア度の高い永続罠カード!このカードがフィールドにある限り何度でも効力を発揮する。貴方が攻撃を宣言する度にね!遊戯、…貴方のモンスターは、全ての攻撃を封じられたも同然なのよ。」


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