「私のターン、ドロー!」
 来た!なまえはつい目を開いて口の端を緩める。その顔に遊戯が警戒しないわけもなく、グッと身構えてなまえの一挙手に目を向けた。

「“魔導書士バテル”を召喚!」
 “魔導書士バテル”(攻/500 守/400)

「バテルの召喚に成功した時、デッキから魔導書と名のつく魔法カードを手札に加えるわ。私はそのまま“グリモの魔導書”を発動。このカードは“魔導書”と名のつく魔法カードをデッキから手札に加えて、…発動させるわ。“ルドラの魔導書”!このカードとフィールドにある魔導書、もしくは魔法使い族モンスターの2枚を墓地に捨て、デッキから2枚ドローする。」

 “魔導書”が次々に墓地へ送られるたび、遊戯の顔は険しくなっていく。
「魔導書を墓地に貯めるためだけにモンスターを墓地に送るのか…!」
 理念に反すると言わんばかりの遊戯に、なまえは静かに応えた。その驚くほど冷たい目に遊戯の胸は跳ねる。
「魔導士たちは私と一心同体。“私たち”にとって、墓地は決して死の世界ではない…」
「墓地と死の世界が…別だと?」

「(クイーン…まさか記憶が…?)」
 均整を保っていたペガサスの表情に綻びが生じる。だがその一瞬見せた戸惑いも、千年眼に映し出されたなまえの心を見れば落ち着きを取り戻した。

「みてれば…いずれきっと解るわ。」
 そう言ったきり、なまえはもう遊戯に取り合うつもりはないと言わんばかりに手札に目を落とす。

「そして伏せていたカードを使うわ…魔法カード“遺言状”を発動。ルドラの魔導書の効果で、魔導書士バテルを墓地に送り、カードを2枚ドローする。これで“遺言状”の効果を発動。このカードは、このターンに自分フィールド上のモンスターが自分の墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚する事ができる。」

「…! モンスターリクルートコンボか!!!」
「私の魔道士達に死の世界なんて関係ないのよ」
 なまえは立て続けにデッキからカードを引き出し続け、その手札が減る気配がないことに遊戯は冷たい汗が背中に流れるのを感じていた。

「私はデッキから“魔導召喚士テンペル”を召喚!」

 “魔導召喚士テンペル”(攻/1000 守/1000)

「テンペルの特殊効果は知ってたわね」
「く…! ソイツもまだコンボの中の1枚って事か」
 なまえは薄く笑うなり「そうよ」とだけ言うと、テンペルは青白い光に包まれ、純白の法衣を纏った最高位魔道士へと姿を変えていく。

「テンペルは魔導書が使われたターンに生贄とする事で、光か闇属性のレベル5以上のモンスターをデッキから特殊召喚する。…私が召喚するのは、“魔導法士ジュノン”!」


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