Teenage dream
「……ッ、もうよしなさい」
荒い息を吐いて内股を震わせる先生を嬲るように、一番ザリザリした舌の腹で聳り立つペニスの裏筋を舐め上げる。
「やめろ」なんて言っても生殖器は正直なんだから、どんな冷徹な医者でも自分でコントロールできない部分があるのだと思えて、つい笑いが込み上げた。
先生が書類仕事をするためのテーブルの下に潜り込んで、スラックスのファスナーを下ろしたのがほんの十数分前。いま書いてる書類が今日中に終わらないといけない事だってのも知ってる。だからこそ、意地悪ってのはしてみたくなるものだ。
「ねえ先生、こんなことお父さんが知ったらどうなっちゃうかな?」
「君ねぇ……」
「ホラ、顔に出すと窓からわかっちゃうよ」
ニッと笑った歯列がブラック・ジャックのペニスの先を撫でる。つるつるとした粒揃いの前歯に、僅かに触れる犬歯の先。そうかと思えば奥深くまで飲み込んで、自分で苦しそうにカリ首を喉で締めた。
「……ッ クソ!」
「ンぐぶッ?!」
髪を掴まれて無理矢理ぜんぶ喉に押し込まれる。
まるで“そういうおもちゃ”でも扱うように片手で頭を上下させられ、先生の高く張ったカリは口蓋垂と軟口蓋をめくれるほど激しく引っ掻き、両端の扁桃腺で亀頭を挟まされた。
鼻水とか涙とか涎とは違う粘性液で顔をグチャグチャにされて、そのまま先生は喉の奥に射精した。
「───ッ ゴプっ ゲホゲホ…… オェ……ッ」
洗い息と嗚咽と、嘔吐したものが床に落ちる音だけが響く。先生のだからぜんぶ飲み込みたかったけど、身体が勝手に吐き戻してしまった。
ブラック・ジャック先生の靴やスラックスの裾に吐瀉物が飛び散る。お医者さんだから慣れているのか、先生は少しも気にしないで咳き込むなまえの腕を掴んで引き寄せた。
なまえは元々、ブラック・ジャックが今住んでいる岬の地主の孫娘だった。
持っていても二束三文にしかならない、断崖絶壁の海沿いの岬。人里離れていて最寄りの駅という概念すらなく、木ですら背高く根付くことさえ出来ない程の強い風に年中晒される荒地。そんな土地を買い取って家を建てたいなんて酔狂な男が現れたのは、もう12年も前のことだった。
「だめ! ぜったいにうらない!」
相場の倍以上の金を積んだブラック・ジャックに二つ返事で売却しようとした祖父に代わって反対したのがこの女─── 12年前、まだ5歳になったばかりのなまえだった。
あの岬はなまえの遊び場だった。それを得体の知れない黒い男がやってきて奪おうとするのだから、反対して当然だろう。だがまだ5歳のなまえに発言権なんてものはない。ブラック・ジャックはそんな可愛らしい反抗を横目に土地を買い取り、ログハウスを建てて悠々自適に暮らし始めた。
「なにかご用かな?」
ブラック・ジャックは呆れたような顔を玄関のドアから出した。ドアマットの上では小さな少女が座り込んでその顔を見上げている。
「ここは私のものだったのよ! はやく出てってちょうだい」
「あのねぇ……」
なまえがピーピー泣き喚く度にブラック・ジャックは困り果てて彼女の家に電話をした。何度か母親や祖母が迎えに来て頭を下げたが、流石に半年も過ぎた頃にはブラック・ジャックも親を呼びつけるような事はしなくなった。
ある時、ブラック・ジャックは手術と治療の依頼を受けて1ヶ月ほど海外に滞在した。
10時間を超えるフライトで凝り固まった体と、疲れ切った心を詰め込んだトランクを引き摺って帰宅したブラック・ジャックを待っていたのは─── ブラック・ジャックを待ち続けるあまり風邪で寝込んだなまえだった。
町医者が風邪だと診断して寝かせていたなまえは弱り続け、1週間以上喉の痛みや咳に苦しんでいると聞き、ブラック・ジャックはすぐに彼女の治療に当たった。ジフテリアに似た症状だが、ブラック・ジャックはなまえの膝に2本の引っ掻き傷を発見する。
なまえは突然姿を消したブラック・ジャックを待ち続ける間に、野良猫と何らかの接触をして「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」に感染していた。
ブラック・ジャックのあの家で入院をして、抗生物質投与によってなまえは回復した。そして、なまえはブラック・ジャックに恋をした。
それ以来、なまえは違う理由でブラック・ジャックの家に通っている。
もちろん最初はブラック・ジャックも相手にしなかった。だが月日が経つにつれなまえはどんどん大人びて、美しく成長し始めた。
子供の恋愛ごっこに付き合っている程度に思っていたブラック・ジャックだったが、なまえは挫けなかった。
「先生、見て」
あれはなまえが11歳の秋口のこと。震える手でスカートをめくり、ブラック・ジャックに血の滴るショーツ越しの性器を露わにした。
「よしなさい」
「初潮が来たの! 私はもう大人よ。先生、もっと私を見て。先生が好きなの、だから……!」
「帰りなさい。君と私が一体いくつ離れているか分かっているのかね。もう二度とここへは来ないでくれ」
「先生!」
「出て行け!」
声を荒げたのは初めてだった。泣きそうな顔を堪えて走り去るなまえを、ブラック・ジャックが窓越しに目で追う。……なぜ目で追ったのか、どうしてこんなにも罪悪感で胸が一杯になったのか、ブラック・ジャックには知らない振りをする術しかない。
それから次になまえがブラック・ジャックと顔を合わせるのは、さらに3年の歳月を経たあとの事だった。
「残念です」
「いいえ、祖父も大往生でしたから」
ブラック・ジャックに土地を売った、元の地主であるなまえの祖父が亡くなった。その葬儀で、ブラック・ジャックとなまえは再会した。
14歳になったなまえは、また見違えるほど美しく成長していた。果樹園にぶら下がるいくつもの実、その中で一際大きく、一番人の気を惹く禁断の果実。……その欲望に負けるような男ではない。そんな誘惑に屈するブラック・ジャックではない。
「アッ、は、……アッ アアアッ 痛ッ……せんせ、せんせぇ! イッ……く! イク! だめだめだめ……!!!」
真っ白い太腿に滴る血、あの初潮を見せびらかしたなまえの肌を再び血で染めて、本当の意味で大人にしたのはブラック・ジャックだった。
成長途中の身長に、まだ発達していない乳腺を抱えた乳房。どこも彼処も白い肌に、あどけないピンクの性器と乳首…… それをブラック・ジャックは食べ散らかした。
やってしまった。そう後悔しても過去は変えられない。人には言えない関係、それも道徳的に欠ける行為を犯した。
犯罪を犯した点は最早どうでもいい。普段から散々犯している。だがまだ10代半ばに差し掛かった彼女に手を出したのは流石のブラック・ジャックも堪えた。自分で犯しておきながら、射精したあとの虚無感や罪悪感は凄まじいものだった。
なまえはブラック・ジャックを断罪しなかった。それどころか、ブラック・ジャックから主権を奪ってみせたのだ。
「先生、……先生は、私が16歳になったら結婚してくれるよね? 私のここ、もう先生の形になってるんですから」
性的快楽を覚えた10代の性的欲求は底を知らない。なまえは毎日ブラック・ジャックの家に通い、門限が許す限りブラック・ジャックに跨る。
「あっ♡ イイ♡ 先生すき……! だめ、イッちゃう……!」
「ク、……! もう、やめなさ……ッ」
「あは♡ 先生のおちんちん、ナカでびっくんびっくんしてる♡ あ〜、もう、先生の精子、私の子宮がゴクゴク飲みたがってるよぉ……♡」
コンドームを外して落ちるブラック・ジャックの精子を下品な顔で舐め取るおそうじフェラなんてものをどこからか覚えてきて、最後は自分から髪で拭う。
「せんせ♡ もうナマでしてくれないの?」
「いい加減にしなさい」
生のまま自分で膣口に当てがうなまえを押し除け、ブラック・ジャックはさっさとシャワールームへ退散していく。その背中を眺めたあと、彼がシャワーを浴びている間に帰る。それがなまえの日課だった。
今日までは。
「こっちに尻を向けなさい」
「はい……♡」
粘液や鼻水でドロドロになった顔を赤く染めて、なまえは書類が汚れるのも気にしないでテーブルに体を伏せた。突き出された尻には愛液でぐっしょり濡れたショーツが張り付いていて、肉厚の隠唇の筋がくっきりと浮かび上がっている。
「こんなに濡らして、喉で感じてたのか?」
「はい、先生のおちんちん舐めて、おまたがウズウズしてました……♡」
素直に受け応えするなまえにブラック・ジャックの口端が吊り上がる。ショーツを下ろしてやると、乱暴に指を2本押し込んだ。
「ひゃ……ッ!」
「冷たかったな?」
「ア、あひ…… き、気持ちいいです……!」
指の腹に触れる突起をコロコロと動かせば、嬌声を上げながらなまえの内股に力が入る。テーブルにしがみつきながらガニ股でトロトロと愛涎を流す膣に、ブラック・ジャックは容赦なく指を曲げて掻き回す。
「イッ?! アッ あひあああアアア!! ダメっ だめぇ♡ こぼしちゃう♡ お潮吹いちゃいます♡」
「いいから出しなさい」
「ひゃあアアア♡」
知り尽くした膣内を手で転がして、一番良いところを擦り上げる度に潮を床に散らすなまえ。次第に爪先立ちになって脚を伸ばす様を見れば、もうすぐイきそうなのだとブラック・ジャックにはすぐ分かる。
「イくイクイク! アアア───……、んっ…… ッ?」
大きく震えた所でブラック・ジャックは動きを止めた。ヒクヒクと麻痺しかけた膣もパカっ♡と口を開けて脱力する。
「……え? せ、せんせ……」
落ち着きかけた所で再び激しく指で中を掻き回した。今度は一番の性感帯に調教した子宮頸部だけを指で弾いてやると、なまえはわけのわからない叫びを上げてまた達そうになる。
「イ───ッ ……っ!!!! あ、れ?」
振り向きかけたなまえの首を、ブラック・ジャックは空いた方の手で掴んでテーブルに押し付けた。
「キャ……ッ!」
ガタガタと音を立てるテーブル。ブラック・ジャックは一度指を抜くと、リボンタイを解いてテーブルの脚に通し、なまえの両腕を縛った。
「せ、せんせ……?」
腕を天板の下に通したうつ伏せの状態で束縛され、なんとか爪先立ちで姿勢を保つなまえ。ガニ股で立たざるを得ない彼女の内股には、期待と興奮で白く濁った本気の愛液が垂れ続けている。
「約束通りにしてやろう」
「あ……♡」
コプ、と大きく愛液が垂れた。
なまえとの約束、それは───
「引越し?」
いつものように押し掛けてくるなりまだ勃ってもいないペニスを口に咥え、硬くなったら直ぐに跨るなまえ。だがその日は、いつものセックスとは違っていた。
「先生、私……全寮制の学校に入ります。そのあと、従兄弟と結婚するんです。お母さんに、先生との関係がバレてたの」
なまえの母親は気付いていて、あえて目を瞑っていたらしかった。だが高校生に上がるタイミングで、母親はなまえに迫ったと言う。
先生と別れて他の男と結婚するか、母親が先生を訴えて逮捕させるか。
なまえは母親に従いこの土地を離れ、俗世からも離れて生きる。
「先生、もう一度私に中で出して。妊娠したら、先生は私を攫ってくれるでしょ?」
「アアアいあああああ♡」
バチバチと激しく打ち付けられるブラック・ジャックの下半身。硬いペニスがなまえの子宮目掛けて撃ち込まれ、子宮頸部がゴリゴリとあり得ない音を立ててこねくり回される。
「イ♡ いぐ♡ いってる♡ せんせ♡ せんせぇえ♡」
バックスタイルで長いストロークを描き、全体重を掛け根元まで打たれる度、足元の水溜りは広がっていく。
処女を奪ったのはブラック・ジャックの生のペニスだった。それ以来ずっとコンドーム越しでもどかしかったが、今は存分に生のペニスを味わえる。反り立ったサオに張り出したカリ首、太く擦り上げる裏筋…… なまえの細い腕ほどあるブラック・ジャックのペニスが容赦なく内臓を突き上げても、幼い内から“仕込まれた”なまえの身体は少しも根を上げない。それどころか、激しければ激しいほど、苦しければ苦しいほど、痛ければ痛いほど、……なまえはよがり狂った。
全て、ブラック・ジャックが教え込んだ。
「先生♡ 出して♡ もうむり……! 出して出して♡」
「締めるな……! くそ、出すぞ……!」
「アッ ああああ───!!!」
背中をしならせてなまえは達した。一番深く子宮口にビッタリと鈴口を着けて射精する。どっくんどっくんと跳ねるペニスを感じながら、なまえはテーブルに身を任せて意識を飛ばした。
私は知っている。先生は私を妊娠させるつもりなんて無かった。
気を失うまでセックスをしたあと、ブラック・ジャックは部分麻酔をして洗浄をし、なまえにピルを服用させた。
ほんの数日で生理が出ればなまえだって直ぐに察した。
それから、もうブラック・ジャック先生に会うことは無かった。今も先生はあの岬に住んでいる。それでも、私はあの人にもう会う事はない。20歳になった私は、先生の元へティーンエイジ・ドリームを置いてきた。もうその夢を見る事もない。
できることならあのまま底のない沼の中へ沈みたかった。
それが人には言えない、私の過去。
2020.01.16 サイト2周年記念 / レイ様へ
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