もういちど
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目が覚めると、子どもになっていた
何を言っているのかわからないと思うが、わたしも何を言っているのかわからない
小さくなった体に呆然としながらも紅葉のような手を見つめていれば、家族が心配そうにわたしの名前を呼ぶ
あぁ、名前だけは、馴染み深いものでよかった
(…黒の組織に出くわした覚えはないんだけどな…)
まるで体は子ども、頭脳は大人な名探偵のような状況に、頭を抱えた
(えっと…、最後の記憶は…あれ、なんだっけかな…)
前の人生でわたしはどういう人物で何をしていたのか
何故か一切思い出せない
記憶が混乱しているからか、脳が考えることを拒否しているのがわかる
わからない、けれど、多分、死んだ…のだろう
なんだかそんな気がする
記憶が戻る少し前、わたしに『個性』が発現した
今わたしが生きるこの世界は、『個性』という超人パワーをみんな持っているらしく、わたしの『個性』は治癒だとお母さんが教えてくれた
その『個性』の発現と、3歳の誕生日パーティーを家族でお祝いしてくれている今、記憶が戻ったのである
お誕生日ケーキの火を消した瞬間に、わたしに前世があった記憶がどどどっと波のように押し寄せるように頭に流れ込んできた
普通ならその情報量に頭がパンクしそうなものだけれど、それは、真っ暗な部屋に明かりが灯るまでの数秒の間にわたしの脳に馴染み、じんわりとわたしの中へ染み込んでいった
だからと言ってそんな簡単に納得出来るものではなかったけれど、理解はしなければならなかった
「はっぴーばーすでー、わたし」
あたらしい人生は、わたしに優しい世界だといいな、なんて思いながらそう呟いた
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