とても好きな人がいる。
カッコよくて、頭も運動神経もよくて、すごく優しい男の子。
正義感が強いくせして傷つきやすいから、私はいつもハラハラしてる。
傷付いた彼を助けなくちゃ、と思うのに全然うまくいかなくて、その役目はお姉ちゃんにとられちゃうんだ。
私が何を言ってもごまかすように笑うくせに、お姉ちゃんが言った言葉はあの子の心に響いてるから。
それがすごく悲しくて、悔しい。
あの子が気にしてる身長だって、私の方が小さいのに、あの子は自分より背の高いお姉ちゃんを目で追ってる。
たまに帰った時に食べるご飯も、私が作ったものよりお姉ちゃんが作ったご飯を誉めるんだ。
どっちが作ったかなんて、知らないはずなのにね。
お姉ちゃんが造った機械鎧を嬉しそうに見てるくせに、お礼はぶっきらぼうに言うから、私、苦しいんだよ?
私もあの子の役に立ちたいのに、危険だからって工場に入れてくれないおばあちゃんが恨めしい。
ねぇ、何で?
何で私を見てくれないの?
年下だから? あなたの役に立てないから?
でも私だって頑張ったよ?
錬金術の勉強を頑張るあなたにご飯を持っていった。
牛乳は嫌いだけどシチューは好き、なんて矛盾を言うあなたのために、たくさん練習して作ったシチューを美味しいって言ってくれて本当に嬉しかった。
風邪を引いた時は付きっきりで看病した。治ったとき、助かったって、頭撫でてくれたよね。すごくドキドキしたよ。
お姉ちゃんはわからないっていう錬金術も頑張って勉強した。初めてあなたの目の前でやって見せたとき、驚いてたけど、すごく嬉しそうな顔をしてくれたね。私も同じ立場になれたと思って嬉しかった。
やっと、あなたに見てもらえるって。
——でも、結局私の努力は無駄だったんだね。
だってあなたは今、私じゃない人を隣において、すごく幸せそうに笑ってるから。
元に戻った右手で、お姉ちゃんと手を繋いでるから。
「ユキ!」
綺麗なウェディングドレスに身を包んだお姉ちゃんが私を呼ぶ。
顔をあげると、二人共笑って私を見てた。
「こっち来いよ! ユキの好きなお菓子あるぞ!」
私の好きなもの知ってたんだと、もう叶わないのに胸が熱くなる。
そんな思考を振り払うように、私も二人に負けないくらい笑ってやった。
「今行く!」
あなたが幸せなら、それでいいよ。
私はずっとあなたを想ってるけど……それくらい、許してよね。
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