気になる子がいる。

 意地っ張りで不器用で、がんばり屋で、とても一途な女の子。
 自分の想いを必死で隠してるから、僕が"それ"に気付いたときはもう遅かった。

 彼女は叶わない恋をしている。
 それはきっと、兄さん達が互いを想ってる長さと同じくらい前から。
 気付いた今でも思う。何で僕は彼女のことを考えず、二人を応援するような行動をしてたんだろうって。
 でもきっと気付いたとしても僕は二人を応援した。
 だって二人には……特に兄さんには、地獄を見た分、幸せになってほしいから。
 結局僕は彼女の恋を応援してあげることができなかったし、これからもできない。

 多分僕は、彼女に惹かれたんだと思う。
 元に戻った体で兄さんと地元に戻ったとき、安心した顔で出迎えてくれた。嬉しかったけど、愛しそうな目で兄さんを見てたのは悲しかった。
 仕事で忙しいって言う二人に代わって、僕らにご飯作ってくれたね。頑張ったんだから、なんて言ってたけど、それは兄さんのためでしょ?
 三人で話してたとき、君が見てるのは兄さんばっかりだし、リアクションが大きいのも兄さんの話だよね。君は無意識だっただろうけど、結構傷付いたなぁ。

 でも、君の方が傷が深いってすぐわかったよ。
 仕事が終わったウィンリイが来たときの兄さんの隣で、僕は見たんだ。
 泣きそうで、切なそうで、悔しそうに、顔を歪めた君を。
 驚いて目を見張ったけど、次の瞬間には君は笑ってたね。さっきの顔が嘘みたいだったから、僕の見間違いかな、と思った。
 でも手を血が滲むくらい、強く強く握ってたから、さっきの顔は本当だってわかったんだ。

 ねぇ、辛くない? 悲しくない?
 そんな風に僕が聞いても、きっと君は首を振る。
 君のことだから、あの人が幸せならそれでいいんだって、また愛しそうな顔をするんだろうね。
 その顔を見たくないから、聞かないけど。

 彼女は頑固だ。
 自分でも叶わないとわかっていながら、その恋をやめるつもりはない。
 本当に一途で、意地っ張り。
 そんなところに惹かれた僕が言うのもなんだけど、そろそろ、潮時じゃないかな?

「好きだよ、ユキ」
「……へ?」
「僕じゃダメかな?」

 だって、好きな女の子の心からの笑顔は見たいだろ?
 今のままじゃ笑えないなら、僕が笑顔にする。
 だからどうか、君にこの想いが届きますように。






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