革命軍というのは下っ端の私からしたらよくわからない存在だ。信用してない訳じゃないけど、この組織の核がよくわからないというか、や、ドラゴンさんは好きだけど。

「あー……」
「……」
「えーとだな……」
「……」
「……なぁ、もう終わっても」
「あと48枚残ってます」
「……」

 絶望的な顔をする金髪イケメンを見る私の目は非常に冷めていることだろう。証拠に金髪イケメンの顔はひく、とひきつっている。知ったことではないが。

「そもそも参謀長が書類を面倒くさがって散歩に行くからいけないんです。コアラさんにも言われたでしょう」
「ごもっともで……」
「はい。では早くしてください。私早く寝たいので」

 言った直後にふぁ、と小さく欠伸をすると金髪イケメンもといサボ参謀長が寝てないのか?と目で訴えてくる。何故それがわかるのかはこのイケメンとそこそこ長い付き合いだから。決して仲がいいわけではないので悪しからず。

「寝れないのはあなたのせいですよ。毎晩毎晩呼び出しては私を泣かせるんですから」
「誤解を招く言い方をするな!!」
「あら、どんな誤解ですか参謀長?」

 わざとらしく首を傾げれば若干頬を赤らめてそっぽを向くイケメン。はっ、今さら童貞みたいな反応してんじゃねえよ。

「まあそんなことはどうでもいいですから早く片付けてください」
「どうでもって……お前な、」
「は?」
「……何でもないです」
「はい。では早急に手早く誤字脱字0でお願いします」

 そう言うと参謀長は不満そうな顔をしながらようやく書類にとりかかり始めた。私も参謀長の書類の三分の一を取り、さっさと書く。私は非戦闘員なので主な仕事は事務だ。急いで書いているため少し汚いが、まあいいだろう。参謀長が適当に書いた時よりマシだ。
 そんなこんなで書類と格闘すること一時間。一旦休憩するか、と参謀長の方を向くと。

「くかー……」
「……」

 やばい、殺意がする。
 机に突っ伏して眠る参謀長を殴りかけた手をどうにか抑えため息を溢す。まったくもう。

「参謀長起きてください。あと40枚残ってますよ」
「ううん……」
「参謀ちょ……サボ、起きて」

 全く起きる気配がないため参謀長の名前を久しぶりに呼んでみる。昔は名前を呼んだら起きていたけど、今はどうだろう。

「んー……ユキ……?」
「うん。起きてサボ」
「おお……」

 まだ寝惚けているのか、生返事が返ってくる。今日はもうダメかな。参謀長が目を通さなくてはいけない書類は結構あるけど、本人が寝ぼけてるのにするのは酷だろう。
 仕方ないな、と再度ため息を吐き、舟を漕ぐ参謀長の肩を軽く叩く。成人男性をベッドまで運ぶ力なんて私にはない。

「サボ、ベッドで寝よう。ここじゃ体痛めるよ」
「おー……」
「ほら立って。肩貸すから」

 半ば無理矢理立たせて少し離れた所にあるベッドに移動する。参謀長の部屋でよかった。書斎だったらソファはあるけど参謀長の身長だとはみ出てしまうから。

「よいしょ、と……あー重たい」
「ユキ、悪い……」
「はいはい。大事な書類以外やっておくからサボは休んで」

 て?
 パチパチ、目を瞬かせる。ん? んん?
 何故参謀長の腕はさっきまで力なく垂れていたのに私の腕をしっかり掴んでいるのだろうか。何故参謀長の顔が目の前にあるのだろうか。あ、睫毛長いなー……

「ってそうじゃねぇよ!!」
「うぐっ……!」

 思わず腹パンをいれて飛び退く。完全に油断していたためだろう、苦しむ参謀長は無視することにして。
 こいつ何した!? いやキスしたんだよねわかってるよ! でも何故!? あんた私より美人なお姉さまとあんなことやそんなことしてるだろ!?

「はぁー……」

 いやいや、落ち着くんだ私。サボという男は時には天然時には確信犯という女の敵のような性格だ。キスなんてこいつにとっては日常茶飯事。そんなことで騒ぐほどの年齢でもない。
 よし。

「では参謀長、私は部屋に戻ります。書類は自分でやってください」
「ちょ、ちょっと待て!」
「何ですかまたキスする気ですか盛ってるんですか」
「お前よくそんなこと平気で言えるな!」
「それとも何か、私のこと好きだからキスしたんですか?」
「え」
「まあ有り得ないとわかってますが。参謀長のタイプは綺麗なお姉さまです死ね」
「字が違ぇ!」

 さて、明日も早いことだし帰ろう。一旦寝れば参謀長も今日のことなんて忘れるだろうし。
 改めて退室の挨拶を言おうと参謀長の顔を見ると何故か赤い。
 んん? これは……

「あ……っと、あのなユキ、おれお前のことが」
「ああああ!!」
「き……っておい!?」
「すみません失礼します!!」

 世迷い言を言いかけた参謀長の言葉を遮り勢いよく部屋から出る。危ない、あれを聞いたら私の人生が終わってた。

「……あれは天然タラシあれは天然タラシあれは天然タラシ」

呪文のように唱えていた私を通りがかりのコアラが心配するまで後5秒。






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