ピンポン、と休日の昼によく似合う呑気な音が響く。
『はーい!』
私もまた、呑気なだらしない恰好をしているのだが。こんな時間に来るのなんて宅急便ぐらいだろう、と油断していた。
「ちすちっす。」
さらり、とセンスの良い服を着こなすゾム。くそ、もっとちゃんとした恰好しとけばよかった。
『事前に言ってくれたらもうちょっとましな恰好してたんだけど...』
「こういうのはサプライズの方がええやろ?じゃ、お邪魔しまーす!」
ぽてぽてと彼の後ろを歩く。
『何か忘れ物でもしてた?』
「いや、してへん。今日ホワイトデーやろ。お返ししにきてん」
『成程ね、ありがとう...もしかして手料理?』
「ビンゴ!不健康な生活してるやろと思ったから、特製オムライスを振る舞います!」
おっきいレジ袋持ってたら流石にわかる。
それに、昼食はまだだったのでとてもありがたい。
『ちょうどいい量にしてね?』
「ん、お前少食やしな。」
『そりゃゾムに比べればね...』
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目の前に並んだほかほかのオムライス。
ケチャップライスを隠すように覆う卵は、おひさまに照らされた向日葵のようにつやつやとしているし、そのキャンバスの上にケチャップで描いてある...これは...化物(?)もたいへん味がある。
「それ猫な。上手いやろ」
『猫か。うん、猫...猫ね...。』
...まぁ、とても美味しそうな事に何ら変わりはない。私のお腹もぐぅ、と声を出して賛成している。
『いただきます。』
「ん、ちょい待てや。お返しが手料理作るだけな訳ないやんか?」
1口分のオムライスが乗ったスプーンが差し出される。
『えっと、』
「んふふ。はい、あーん!」