許してね、木苺の人たち/ht

ウェディング企画にて書かせていただきました。

▼以下本文

キィ、と音を立てて係の人が扉を開ける。

『わぁ…』

彼は少し恥ずかしそうに微笑んでいて、そんな彼と結ばれる私は世界一幸せ者だ、なんて思ってしまう。

「すっごい似合ってる。本当に綺麗…」

いつも白い服に身を包んでいる彼も、白いタキシードは着たことが無かったみたいで新鮮だ。

『ひとらんもすごい似合ってる。かっこいいね。』
「まだ本番じゃにのにもう泣きそうなんだけど…は、やば」

彼の瞳が薄く膜を貼るのを見て、私も視界がぼやけてくる。

二人して泣きそうになっていると、係の人から「メイクが崩れるのであまり泣かないようにお願いします」と笑いながら怒られてしまい、今度は二人で顔を見合わせて笑う。

***

「そろそろお時間ですね」
「あ、わかりました。じゃあ名前、また後でね。」
『うん、またね、ひとらん。』

彼はひらり、と手を振って控え室を後にした。

「…優しくて素敵な方ですね。」
『ふふ、そうでしょう? 自慢の夫です。』
「羨ましいです。…では新婦様もそろそろ行きましょう。」
『はい、』

***

キィ、と音を立てて扉が開かれる。
盛大な拍手が私達を祝福する。

皆、羨ましいでしょう? 彼は、世界でたった一人、私だけを今日の日を隣で過ごす人に選んだの。


白いヴェール越しに見る彼は、世界一素敵で、世界一かっこよくて、私の世界一大好きな人!


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