汚いコンクリートの上を分厚いヒールでごつごつ歩く。うわ、ゲロある。吐くなら端で吐けよな...。

ごつ、

『あ...』

下を向いて進んでいたらいつの間にかホテル街へ来たらしい。下品なピンク色に照らされてると仕事を思い出して嫌になる。

くるりと踵を返すと...踵を返そうとすると、見慣れた姿が目に入った。
スタイルの良い長身にふわふわの髪。ダサい眼鏡だけどよく似合ってる。
『チーノ?』
女の腰を抱いて、私には見せない甘ったるい笑顔で。
「あ...名前。」
やっと気づいたのか慌てて距離を取ろうとしたけど、相手の女は酔ってるのかお構い無しみたいだね。
「え〜?ねぇ、この女の子だれぇ?キラキラしてて可愛いぃ〜!このお洋服とか似合ってるぅ、」
伸ばされた手を振り払う。
『誰?このババァ...。』
被りじゃない。被りは顔覚えてるし。
「今日送り誰も呼ばんかってんて?もう用事終わってたから行けたのに...」
『何それ...』
口では申し訳なさそうにしてるけど、顔はニヤニヤしてる。あーバレたか、もう持たへんかーなんて、顔に書いてるよ?
『何百万もチーノに入れてんのに、アフター断ってしてることがこれ?こんなきったねーババァより名前のが可愛いじゃん!この服、チーノに可愛いって言って欲しくて新しく買った服だよ、最初に褒めてくれんのが浮気相手のババァってどーいうこと?まじきしょい、死ねよ!』
自分でも顔が真っ赤になってるのがわかる。もういい、もうなんでもいい。
「はぁー...」

「浮気相手て...付き合ってる気でおったん?笑」


静かに鞄を下ろす。リュックは持ち手がしっかりしてるから、振り回すのに丁度いいね。


***


gr「うっわお前、顔どしたんや」
「殴られましたぁ。しばらく休んでいーですかぁ...?」
「うーわ、うわ、俺も呼んでくれよ!殴られたとこ見たかったな〜」
「いやまじ、ほんま、趣味悪...」
「ま、これに懲りたら大先生でも見習って程々にしとけ。」
「ほんまあの人の痛客さばきすげーわ...ちゃんと尊敬しよ...」


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