ut「チーノ!オーナー呼んでる。」
「あ、はーい!名前、あとでゆっくり話そう。ちょっと待ってて。な?」
きらい、大っ嫌い。でも好きだから怒ってるの。分かってないんでしょ。

『だいすき...』

私の頭をぽんぽんと撫でて裏へと入っていく。

***

「大先生ありがと〜...」
「いやお前、まじであの痛客なんとかせぇ!」
「でもなー、めっちゃ金落としてくれるしなー...」
「もうあいつは下火やろ、近々切れる。他の指名キープしとかな切れた時キツいで〜?」
「まぁね〜...はぁ、めんど。グルさん呼んでるって?」
「嘘に決まっとーやろ!落ち着いたらさっさと来い!」
「あざま〜す...!」

***

rb「...チーノも悪気ある訳ちゃうと思うで?バイト掛け持ちしてんのはほんまっぽいし...」
まじヘルプとの喋りとかどーでもいいんだけど。
『うざ。名前とアフター行かないのもほんとだけど?まぁ一人の評判落ちたら店の評判落ちるもんね。指名少ないロボロはそこが痛いわけだ。』
「...。」
バツが悪そうに口を噤む。
sha「実際、なんであんなにボトル入れてくれてるん?あんまリターン無くない?」
ようやく静かになったと思ったのに。
『喜んでくれたらそれでいいよ。それでいいけど、でもやっぱり名前が一番なのに、他と一緒なのはイラつく...。』
「俺本指名にしてくれたらいーっぱいリターンあるよ?ここ永久指名じゃないし。」
そう言って蜂蜜色の瞳はゆっくりと細められる。ソファが下品に軋み、距離が縮んだ。
『リアコ営業なら枕辞めた方がガチ感出るよ。もっと定期的に火消し雇えば?掲示板荒れてんぞ』
「あーまじ?はは...」
2人も横についてるはずなのに静かなのウケるね。最初から黙っとけば良かったのに。

新しく渡された手元のグラスはぱちぱち、しゅわしゅわ、甘いので満たされてる。でもね、なんでだろうね、全然キラキラしてない。

『...なんでボトル入れてるかなんて、好きだからに決まってんじゃん...。』

「もうラストやけど、どうする?」
『帰る...。送りも要らない...。』


なんでわかってくれないの。チーノ。


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