あの恋人宣言から一夜明け、休日に自分の容量オーバーの出来事がありその処理が追いつかなかったため、盛大に寝坊した。一段飛びで駅の階段を駆け上がり脇目も振らずに職場へ。そんな時に限って丁度ばったりと職員用の出入り口で五条先生と会ってしまったのだが、あんな失態を犯した手前どんな顔をしていいか分からずピシリと固まってしまった。

「おはようさん」

「おおお、おはようございます」

「始業前なのにそんなに慌ててどうした。髪、跳ねてるぞ」

フッと柔らかく頬を緩めた五条先生は、跳ねていたであろう髪を撫で付けるようにして私の頭に触れる。それがあんまりにも、恋人に触れるような優しい手つきであったから、誰だ、こいつと思ったのは致し方ない。あんぐりと口が開いたまま。