「おはようなまえ!突然で悪いんだけどさ、9時に高専集合ね!」
「え、?」
「遅刻厳禁だからよろしく〜」

要件だけ述べて切れた電話。ちなみに現在朝6時。登ってくる朝日が任務明けの身体に滲みる。突如として任務が入ることは仕方ない。しかしながらどうしたって、今の五条くんの声からは任務の気配がしなかった。と言うことはつまり、彼の道楽に付き合わされるという事。

「えええ…せめて4時間は寝たかった…」

身体とお肌の曲がり角の年齢は当に過ぎている。だからこそ、惰眠を貪ることが至福となっていたし、とりあえず寝ないと始まらないくらい疲労感を感じやすくなっていた。
それなのに。

「勘弁してよ…」

朝日に照らされながら大きなため息を吐いたのだった。


***

「はーい!みんな集まったかなー?」

ぱんぱんっ、と威勢のいい柏手が鳴らされる。言われた通り重い体を引きずって高専に行くと、私以外にも五条くんの生徒が大集合していた。みんな顔が疲れている。無理やり集められたんだろうな。

「あれ、なまえさんじゃん」
「あ、真希ちゃん、狗巻くん、パンダくんこんにちは」
「なまえも呼ばれたのか?」
「そうなの?何が何だかさっぱりで…」
「私らも似たようなもんさ」
「しゃけしゃけ」
「悟、こうなったら止まらないもんなー」

4人で五条くんを見る。今回のメインは一年生なのか、とりわけ今年入学した3人に熱心に説明をしていた。

「みんな最近、僕の授業にマンネリを感じてるよね?そんな君たちに!なんと!!今日は外部講師を呼んでいます!」

はい拍手!という掛け声に、みんなは嫌そうな顔でぱらぱらと手を鳴らす。五条くんが今日にイベントを企画するのは今に始まった事ではないけれど、皆んなそれぞれ長い記憶もあるのだろう。そもそも、外部講師を呼んでいるなら私がいる必要を微塵も感じなくて、寝不足の体を労るように木の影に入った。

「はい、じゃあ登場してもらいます!高専始まって以来の最悪の呪詛師!夏油傑くんでーす!」
「え?」

どろん、といつものように呪霊タクシーで現れた夏油くんは、にこやかに片手を上げる。その後ろには、予定を潰されたのだろう、不機嫌な奈々子ちゃんと、関わりたくないというオーラを纏わせる美々子ちゃんがいた。

「悟、良く上が通したね」
「いや、許可はとってない。あとで説明すりゃあいいっしょ。もう呼んだんだし」
「…そんなことだろうと思ったよ。何かあったら全力で逃げさせてもらう」
「は?マジでふざけんな!今日は竹下通りでなまえとタピる予定だったんだよ!!!私たちの時間返せ!!」
「許せない…吊るす」

え、聞いてない。その予定聞いてないよ、2人とも。2年3人組の視線が刺さる。私も知らないんだ、いや彼女たちのことは知っているんだけど、今日の予定とかここに来た理由とか知らないんだよ。

「それじゃ始まるよ〜!どっちがより優秀な教育をしているか、お互いの教え子で確認してみよう大会!」
「は?」
「今回勝ったら、なんと!なまえの手料理が1週間食べられる権利が貰えまーす」
「え?!聞いてない!聞いてないよ五条くん!!」
「何でもいいんですか?」
「お、恵は珍しくやる気だね。なまえが作れるものなら何でもいいよ。材料費は僕に請求して」
「なまえさん、前作ってくれた生姜の料理が食べたいです。他にも生姜が合う料理できますか?」
「え、あ、うん。カレーとかでよければ」
「はあ?!おいそこの目つき悪いお前!
「因みになまえのカレーは絶品だよぉ!僕らも高専時代は取り合ったぐらいだからね。味見しないのに良くあそこまで出来るよね」
「取り合うも何も勝手に食べて怒られた思い出の間違いだよ。私はどちらでもいいよ、いつでも食べられるから」




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