春奈が家に来て、姉妹としてうまくやってこれたと思う
妹は可愛いし、今ではとても大切な存在となっていた
そんな私は中学生となり、今日から雷門中に通う

前世で見た世界だと確信を持った私はサッカーについて色々と調べ始めた
結果は予想通りであった
好きだった世界に生まれ変われ、登場人物の姉となることは嬉しいと言えば嬉しいが少し複雑でもあった
しかしそんな気持ちもすぐに吹き飛ぶこととなった
そんな興味から調べたサッカーであったが、実の兄がサッカーをやってる影響で自信もサッカーが好きな春奈との共通の話題となり、すんなりと仲良くなることができたのだ
それに加え、試しにサッカーをプレイしてみたら思ったよりも出来てしまい、サッカーをきっかけに友人も増えていった
性格は相変わらずな気もするど、外で遊ぶことが増えたことに両親は大喜びしたのだから、良いことづくめだ

順調にサッカー好き少女に育った私は、進学先に雷門を選んだ
サッカー好きとして円堂守のプレイが見てみたいという興味と、物語を近いところで見てみたいという好奇心からの選択だった
これからどんな面白いことが見れるのだろう
期待に胸を膨らませながら、真新しい制服に身を包み入学式へと向かった

とても一般的な入学式を終え、私はクラスの方へと来ていた
席は運が良いと言うべきか、悪いと言うべきか…ど真ん中の一番前の席だった
早く席替えしてくれないかな、なんて思いながら小さなため息をこぼした時、ふと後ろから肩を叩かれた
振り向くと、そこにいたのは優しそうな笑みを浮かべた1人の女の子

「私、木野秋っていうの
名前教えて?」

「あ、私、奏…音無奏」

目の前にいたのはあの、木野秋であった
まさかのクラスメイトで、かつ後ろの席という関係に驚きつつも、悟られないように自己紹介をする

「これからよろしくね!
奏ちゃんって呼んでいい?」

「奏でいいよ」

「そしたら私のことも秋って呼んで!」

そこまで話したところで、担任が入ってきて話が中断された
私は返事の意味を込めて頷き、前に向き直った

入学して1週間、私と秋はだいぶ仲良くなっていた
席が前後であることに加え、同じサッカー好きということもあり意気投合するのにさほど時間はかからなかった
そしてもう1人、サッカーが共通で仲良くなった人がいた
放課後、秋と教室で日課と化しているおしゃべりをしていたらその人物がバタバタと激しい足音をたてて走りながら教室へと入ってきた

「木野!音無!
サッカー部に入部しないか?」

息を切らせ、すごい勢いで話すこのオレンジのバンダナの熱い少年
そう、円堂守その人だ
オリエンテーションでたまたま班が同じになった時に、サッカーの話で大いに盛り上がり、そこから仲良くなった
彼はサッカー部に入部すると意気込んでいたが、うちにサッカー部は今現在ない
そのことを伝えようとしたところ、お構いなしに職員室へと向かっていたのが数分前の話
きっとがっかりして帰ってくるよね、という秋の言葉で私たちは慰めるべく教室で待っていたのだが…
返ってきた彼は肩を落とすどころか、目をきらきらさせている
そして最初の言葉へと戻る

「先生からサッカー部はないって話聞かなかった?」

「な、音無知ってたのかよ!
なんで先に教えてくれなかったんだ!」

「いや、話す前に円堂くんが行っちゃったんでしょ」

あきれるように私が言えば、秋が苦笑いしながらまぁまぁと宥める

「円堂くん、サッカー部に入らないかってどういうこと?
奏も言った通り今はサッカー部がないんだよ?」

「だからオレらで創ろうぜ!」

「えっ?」

円堂くんの話に、秋はぽかんとした顔をした
私は驚いたふりをしつつ、内心ではやっぱりと1人で納得する
ここら辺は記憶と変わらず物語通りに進んでいる
予想外に私が絡んでしまったから、変わってしまうことを多少は危惧していたが、さすがに私ごときの存在がそこまで影響を持っているわけではないようだ
考えていると、円堂くんがこちらを覗き込むようにしてしゃがんだ
どうやら返事を待っているらしい

「奏、どうする…?」

秋は少し悩んでいるようだった
私はそれに笑顔で応える
とっくに気持ちなんて決まっている

「いいよ、創ろうかサッカー部」

「本当か?やったー!」

飛び跳ねるようにして喜ぶ円堂くんを横目に、秋の方をみる

「秋はどうする?
無理強いはしないけど、秋がいたら私も円堂くんも心強いよ」

「奏…
わかった!私も協力する!」

「サンキュー、木野、音無!」

こうして新生雷門中サッカー部が創設されたのだ



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