今日も今日とて、 ウルトラマグナスはロディマスに説教していた。

「いいか、 ロディマスがそんな態度だとこの連中にしめしがつかないんだだから」
「マグナス、 脚が痺れてきた」
「何? 話が聞けないという気か?」
「はーーーい…」
「続けるぞ。 もっと思慮して行動するべきだ。 確かに誘惑も多いかもしれないがそんな、 ふとした誘惑に負けていてはこの先どんな事故や事件に出会っても対応できないぞ。 この艦の危機管理はそんなに薄っぺらい物じゃないんだ。 きちんと内容を確認しておいているのか? ロディマス、 机においてあるその本は飾り物なのか だから―――」

そして文字通り延々と続いた説教。 いつもなら、 逃げ出すロディマスが逃げ出さない事に、 違和感を感じていたウルトラマグナスが、 漸く言葉を区切っていった。

「聞いているのか?」
「うん聞いてる。 ってかなんだか冴えて来た」

後々知ったのだが、 この時ロディマスはチャットルームでドリフトとお話中だったらしい。 再び口を開こうとしたとき、 ロディマスが言った。

「わかった、 マグナス。 俺、真面目に仕事する」

すくっと立ち上がったロディマスは、 その後どこにもいかずに机に着いた。 それに、 驚いたのはウルトラマグナスだった。 あれほど言ってもまともに仕事しないロディマスに何があったのだろうか…、 とそう思わざるを得ない。

「俺は仕事するからマグナスでてって」

そしてあろうことかウルトラマグナスを邪険にしたのだ。 その態度が些か気に食わないと思うも、 しぶしぶながらウルトラマグナスは部屋を出て行った。 おそらく、 この場しのぎの対応だろうと思っていたため、 その三十分後にもう一度部屋に行ってみることにした。

「ロディマス」
「どうしたー?」

扉を開いた先にはロディマスがいた。 驚いて、 ウルトラマグナスは固まる。
ロディマスは本当に本当に真面目に仕事していたのだ。 近寄って、 確認してみる。

「ほい、 この書類終わった」
「あ、 ああ……」
「確認してくれ」

その言葉に書類をめくる。 その間にも、 ロディマスは別のものを仕上げていく。 多少の誤字脱字は許容の範囲とすれば、 その書類はウルトラマグナスが預かってもいいものであった。

「どう?できてる?」
「ああ」
「そっか、 なら出てって。 ちゃんと真面目にやるから大丈夫だよ。 」
「本当か?」

また再び、 出て行けといったロディマスに違和感を隠し切れない。

「本当、 本当。 なにかあったら俺から呼ぶからさ」

ウルトラマグナスは部屋を出た。 なんだかロディマスらしくないその様子に考え込む。 何か悪いものでも食べたのじゃないか、 なにか悪いことが起こったのではないか。 暫くして、 もう一度ロディマスの所に行こうと、 踵を返した時だった。

『やってるから見張りいらない』

ロディマスからのメールだった。 何故、 わかったのだろうと思うが、 気づかれてしまっては仕方がない。 ウルトラマグナスは、 ロディマスの変化に戸惑っていた。
どうせ三日坊主だろう。 どうせ長続きはしないだろうと、 ウルトラマグナスはくくっていた。 ロディマスのことだ。 どう長くは続かない。 また、 ロディマスを探し回る羽目になる日はほど近いだろうからそれまで、 己の仕事を進めておこう…。
だが、 ウルトラマグナスの予想に反して、 ロディマスは三日坊主にならなかった。 ロディマスが真面目に仕事を始めてから二週間がたっていた。
ウルトラマグナスはどことなく違和感を感じ始めていた。 ロディマスが仕事をすれば、その下のものも仕事が滞りなく行われるのは確かに、 あっているのだがこうも人が変わったように仕事をされてはなんだかおかしな気分にならざるを得ない。
違和感なんて感じることはないのだ。だってロディマスが仕事をしていて、 遊びにいかないで…… 。 だが、 なんだろうかこの違和感は。
ウルトラマグナスは周囲を見回した。 ロディマスが仕事をしているのは好ましいのにこの違和感はなんだ。 目線をくれると目の前に曲がったままの紋章を付けているのが目に付いた。

「そこ!紋章はまっすぐつけろ!」

なんだかやたらと周りが、気になりだした。
鳳櫻月雨